山本と野球部の先輩


※攻主。









「お前ら、そろそろ切り上げて帰れよー。」


そう言って遠ざかっていく先生の後ろ姿を見送って、白兎先輩が再び俺に向き直る。


「おっし。んじゃ、あと10球な?」

「はい!」

「ははっ、いい返事だ!」


へらっと笑いながらグラブを振ってみせたかと思えば、次の瞬間にはスッと細められる目。

本番さながらの真剣な雰囲気に、思わずドキッとした。


「構えろよ、山本。」


白兎先輩に言われるがままバットを構え、唾を飲み込む。


こうやって部活後の自主練に付き合ってもらって、もう随分と経つというのに、この緊張感だけはなかなか慣れない。

というよりも今この瞬間、あの目には自分しか写っていないという事実にゾクゾクとしてしまう。


(っ、ズルいのな…)


毎試合これを、いや多分これ以上のものを感じている相手チームのバッターが羨ましい。

同じチームにいる限り、絶対に味わえない快感。

バッテリーは夫婦だなんてよく言われるが、ならピッチャーとバッターは恋人同士だ。


一対一の真剣勝負。

完全に、二人だけの世界。


(先輩の浮気者。)


今度、冗談めかして言ってみようか。

もしかしたら面白がって、乗ってきてくれるかもしれない。


『愛してるのはお前だけだ』とか言って、またへらっと笑って、でも一瞬でもあの真剣な目をしてくれたら―…




「行くぞ!」




そして、白兎先輩は大きく振りかぶった。







デッドボール!

(心も身体も傷付いたら、)
(責任取ってくれます?センパイ)


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リクエストありがとうございました!



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嘘つき、ロンリー。