宿儺と悠仁の弟


※小学生設定。










「それよ、それ。」


雑談の途中、その流れをぶった切って突然釘崎がそう言い放った。


「?それってどれ?」

「そーゆーとこがブラコンだって言ってんの。」


高専に転校して以来周囲から散々言われ続けてきたその言葉に、正直未だあまりピンときていない悠仁。


そーゆーとこって、どーゆーとこ??

と更に続けようとしたものの、その瞬間ふと釘崎の肩越しに伏黒と目が合い、何となく「止めとけ」と言われたような気がして、とりあえずそれを飲み込むことにした。

その代わり、釘崎がビシッと指し示した「それ」に視線を向ければ、先程から悠仁の隣で大人しく宿題に取り組んでいる弟白兎の姿があるだけで特に変わったところは見られない。

ただ、少し髪がボサボサになってるな、と思うぐらいだ。


決して兄弟仲が悪いわけではないが、かと言って特別良いわけでもない。

白兎が今ここに、悠仁達の教室にいるのも宿題で解らない箇所があり、ただ単にそれを聞きに来ていたため。


なので悠仁は首を傾げながら再び二人に顔を戻したところで、釘崎どころか伏黒までもがどこか顔を引き攣らせて自分を見ていることに気付いた。


「え?」

「無自覚ならかなりヤバいわ、アンタ。いやマジで。」

「いやホント何が!?」

「…ここ最近、環境やら何やらが急に変わったからな…無意識に心配してんだろ。」


伏黒のフォローらしき言葉にますます困惑は広まり、そして続く説明によってそれは更に深まることになる。


曰く、三人で雑談している間中、悠仁の左手は終始白兎の頭を撫で続けていた、と。


「…………は?」

「釘崎が指摘して、お前が振り向いた瞬間に止めたけどな。」

「いや………え?」

「ついでに言うと、今も現在進行形でやってるわよ。」


反射的に振り向いた。

が、悠仁の左手はやはり白兎の頭上にはなく、「コントかよ」と釘崎が吐き捨てるのが聞こえた。


「往生際が悪いわねぇ…いい加減認めれば?大体休みの日にいつも二人で仲良く出掛けておいて、それで『ブラコンじゃない』って無理ありすぎだっつーの。」

「…まぁ、確かに。高専内にいる時も、遠目で見てたらいつも白兎のことを片腕に抱き抱えて移動してるよな。白兎ってもう中学年だろ?流石にあれはちょっと過保護すぎると俺も思ってた。」


二人の話は悠仁にとって、全く身に覚えのないものだった。


(まさか…伏黒の言う通り、俺は無意識に…?)


その瞬間、ある可能性に気付いた悠仁はハッとする。


「もしかして、俺の知らないところで宿儺のやつが何かしてんじゃ…?」

「「それはない。」」


そして、ほぼ同時に二人からツッコミを入れられた上、特に伏黒からは「冗談でもそういうことは言うな」と割としっかり目に叱られた悠仁。

ちなみに当事者の一人であるはずの白兎は、最初から最後まで兄達の話にまるで我関せずで、ボサボサ頭のまま黙々と宿題をこなしていた。










「転ぶぞ?」


学校に向かう途中、折角昨日終わらせた宿題を忘れたことに白兎は気付き、急いでそれを取りに引き返しているところだった。

突然、そう頭上から笑うような声が聞こえ、と同時に何者かによってヒョイと軽々しく抱え上げられてしまう。

一瞬驚いたものの、だがその相手に心当たりがあった白兎は特に慌てることはなかった。


そして目線が高くなり、いつものように体が安定した位置に固定されて顔を突き合わせたのはやはり見慣れた兄の、兄らしくない悪どい笑みだった。


「すくなさま。」

「どうした?白兎。何をそんなに急いでいる?」

「えっと、宿題忘れて…それで学校におくれそうで…」

「そうか、そうか。」


話を聞いているのかいないのか、上機嫌にケラケラと笑う「すくなさま」はよく分からないが兄悠仁の中にいる悪い人、らしい。

確かに白兎も初めて会った時は怖かったが、白兎を抱き抱えるその手つきは優しく、それに時々遊び相手のようなことをしてくれる「すくなさま」は白兎にとって二人目の兄のような存在だった。(たまに暗くて恐ろしい場所に連れて行かれることもあったが)

今もゆったりとした足取りで「すくなさま」が向かう先は宿題の置いてある白兎達の部屋の方向で、恐らくこのまま連れて行ってくれるつもりなのだろう。

そしてこれまでの経験上、その後は学校まで送ってくれるはずなので遅刻する恐れはない。


そう判断した白兎はとりあえず体の力を抜き、いつものように「すくなさま」にその身を任せたのだった。




プロの犯行です。

(だけど呪術界最強の男は何となくそれに気付いていたりいなかったり?)


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嘘つき、ロンリー。