悠仁と恋人
「行ってらっしゃい。気を付けてね。」
「おう、行ってくる!」
ニコニコと笑顔で手を振る白兎に見送られ、意気揚々と歩き出した悠仁。
が、少し先で佇む級友二人の姿を目にし、不思議そうに首を傾げた。
「伏黒?何だよ、その顔?」
「…いや、別に。」
明らかに何か言いたげで、絶対に「別に」といった表情ではない。
同意を求めようと釘崎の方を見れば、そちらはそちらで呆れた表情だった。
「アンタ達、毎回毎回よく飽きないわねぇ。新婚かっつーの。」
「?いや、俺達結婚してねーし。」
「知っとるわ!」
途端何やら目を吊り上げ、怒りだした釘崎が乱暴な足取りで歩き出し、溜め息を吐いた伏黒が「行くぞ」と悠仁を促してそれに続く。
いまいち理解出来ないまま、更にその後に続こうとした悠仁だったが、何となく振り向くと白兎がまだそこに立っていることに気付き、思わず顔を弛ませた。
(結婚…結婚かぁ…)
その瞬間、ふといつかの祖父の言葉が脳裏を過る。
オマエ、ちゃんと責任持てるのか?と。
『助けていただきありがとうございます!惚れました!付き合ってください!!』
『お、おう??』
白兎の勢いに押される形で、二人が付き合い始めたのは中学生の頃のこと。
正直、当時の悠仁は「交際」というものがよく解っておらず、その上「男同士」ということもあってか友達の延長ぐらいにしか考えていなかった。
だから普通に話して普通に遊び、時折手を繋いだりハグしたりなど白兎から求められてもスキンシップの範疇としてそれに応じた。
そんな悠仁の様子から白兎も何か察していたようだったが、それでも嬉しそうに笑い、変わらず悠仁に好意を向け続けていた。
そして、気付けば夕飯を作りに白兎が虎杖家を訪れるようにまでなり、とうとう二人のどこか歪にも見える関係性を指摘したのが先の祖父の言葉だったのだが。
「そうだよなぁ…高専まで付いてきてもらっちまったし、ちゃんと責任取んねぇとなぁ…」
「…いきなり何だ。」
「いや、ほら、白兎のことだよ。」
「………」
「オマエはまだそれか。脳みそまっピンクか??」
聞くんじゃなかった、と後悔を滲ませる伏黒に代わってツッコミを入れた釘崎が「大体アレは『付いてきてもらった』っていうより『無理矢理付いてきた』んでしょ」と呆れたように続ける。
「そう言えば白兎って非術師よね…よく高専に入れたもんだわ。」
「ん?あぁ、なんかいっぱい寄付した?って言ってた。」
「金の力かよ。何?アイツ、ボンボンなわけ?んでアンタってば逆玉?」
「やっぱ責任取るって言えば結婚だよなぁ。」
「おい聞けそこの脳みそお花畑!」
「……オマエら、白兎の話はその辺にしとけ。そろそろ着くぞ。」
「おっし!んじゃあ白兎も待ってることだし、さっさと片付けようぜ。」
「だから!白兎はもういいってーの!」
「…………」
そして結局、最後まで釘崎は怒鳴り続けて伏黒の溜め息も止むことはなく、悠仁は不思議そうにするのだった。
なんだかんだで付き合ってる二人
(お帰りなさい!ご飯にする?お風呂にする?それとも、)
(新婚か!)
(ごめんごめん、ちょっとこれ言ってみたくて…って大丈夫?釘崎ちゃん、なんかすごく疲れてるみたいだけど…?)
(俺、白兎がいい!)
(虎杖、いい加減マジで止めとけ。)
(なんだかんだで(惚気話に)付き合ってる二人)
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嘘つき、ロンリー。