悠仁と元同級生
※『エピローグ小沢優子』の後の話。
中学時代の同級生を偶然見かけ、それに声を掛けて並んで歩くことしばらく。
今度は悠仁自身が「虎杖?」と声を掛けられ、反射的に振り返った。
「え、マジで虎杖じゃん。」
久し振りー、と手を振りつつ、こちらに向かってくるのはやはり懐かしい顔。
その遭遇率に、流石地元、としみじみ思っていると、隣にいた小沢の様子が急に慌ただしくなった。
「あっ、じゃ、じゃあ私はこれで!」
「あ」
と、呼び止める間もなく駆けていってしまう。
「えっと…もしかして俺、お邪魔だった?」
「いやぁ…?」
あまりに突然のことで、入れ違いにやって来た白兎と二人、戸惑いながらもその後ろ姿を見送る。
そして、それが見えなくなった頃、どちらともなく歩き出した。
「卒業以来か?虎杖、高校どこだっけ?」
「あー、色々あって今東京の学校行ってる。」
「へぇ…って、おい待て。東京?何だそれ、初めて聞いたぞ。教えとけよ。」
「いやー、色々あって。」
「はぁ…んで?東京行って彼女もできたって?お前、知らない間に意外とリア充生活送ってんのなぁ…」
「や、小沢は彼女じゃないし。」
「おざわ?」
その名前に何か引っ掛かったのか、「おざわ、おざわ、おざわ…」とまるで呪文のように繰り返す白兎。
だが、悠仁が答えを教えるより先に自力でそれに思い当たったらしい。
「まさか、あの小沢優子?うっわ、マジか…ほんとごめん。邪魔して悪かったわ。」
「え、何で謝んの??」
「いやだってお前、小沢のこと好きだったろ?」
「え?」
「ほら、中学ん時さ、『クラスの女子で誰が好きか』って他のやつらと話してて…」
「あー…なんか、そんなこともあったような気も…?ていうか白兎もそれ、よく覚えてたなぁ…」
「え」
改めて振り返ってみれば、本当に色んなことがあったとそう思う。
祖父が亡くなり、高専に入り、いつの間にかすっかり記憶の奥深くに埋もれた光景。
その懐かしさに目を細め、ほう、と吐き出した悠仁の息は白く雪の中へと溶けていく。
「なぁ、白兎。雪降ってて寒いし、どっか店でも入ってゆっくり話さね?」
「…おー、そうだな。寒いし。」
隣を見ると白兎の鼻も頬もほんのり赤く染まっていた。
その後の話
『白兎はどうよ?クラスの女子で誰が好き?』
『俺は、周りの目を気にすることなく自分の好きなものを好きだとはっきり言える、そんな虎杖クンが好きです。』
『え』
『なんかズルくね?その答え。』
『そもそもクラスの女子だって言ってんだろうが。却下却下。』
『多様性の時代だろ?ちゃんと受け入れろよ、お前ら。なぁ、虎杖……って、どうした?』
『いや、ちょっと、急に告られたから心の準備が…』
『ちょ…マジ照れすんなよ!こっちも照れるわ!!』
(………あんなん、忘れられるかっつーの……)
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呪術祭(改)より。
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嘘つき、ロンリー。