五条と京都校教師
「やっほー。仕事で近くまで来たから遊びに来ちゃった!」
「…五条クン。今、何時や思うとります?」
「草木も眠る丑三つ時?」
「人も寝とる時間ですわ。帰ってもろてえぇですか?」
「ダメでしょ、白兎。京都人ならそこは『ぶぶ漬けでもどうどす?』って言わないと。」
「それ言うたら帰ってくれはります?」
「折角だし、頂こうかな!」
「言うだけ無駄やないですか…」
なんてやり取りの最中、つい堪えきれず欠伸をもらすと、その隙を突かれ、するりと部屋への侵入を許してしまった。
あ、と言う間もなかった。
とはいえ、あのまま抵抗したところで時間の問題だっただろうが。
「庵サンとこでも行きゃあえぇのに…」
「やだなぁ、流石に僕もこんな夜遅くに異性の家に押し掛けるほど非常識じゃないよ?」
「同性相手でも非常識とちゃいますの?」
「え!ごめん、もしかして何か期待させちゃった?どうしよ、僕、白兎のこと友達としか見てないんだけど。」
「………友達や思うてもらえとったなんて光栄ですわ。」
「じゃあ逆に白兎は僕のこと何だと思ってたの?」
「名前と顔が一致する、赤の他人。」
「えー?何それ、ひっどいなぁ。」
そうケラケラと笑いながら、家主を差し置いてどんどん奥へと進んでいくその長身が向かった先は台所。
まさか本当にお茶漬けを食べるつもりなのか、と今度は欠伸ではなく溜息を吐き出した。
某先輩のように「ストレス」と断じるまではいかないが、正直この五条悟のことが苦手だ。
学生時代には姉妹校交流会にて一方的にボコボコにされた挙げ句、散々馬鹿にされて最終的には「雑魚」と吐き捨てられた苦い記憶がある。
お互い教師になってからは、流石に大人になったのか随分態度が緩和されたものの、時々こうして昼夜問わず押し掛けてくるようになり、やはり迷惑している。
それでも何とか苦手で済んでいるのは、恐らく今も昔もお互いの所属が東京校、京都校と別だからだろう。
毎日会っていたら間違いなくストレスまっしぐら、某先輩と酒を酌み交わす日々を送っていたに違いない。
最近風の噂で異動の話がうっすらと浮上しているらしいが、万が一それが現実になった瞬間には呪詛師に転身してやろうと思っている。
(……呪詛師…)
ふと嫌なことを思い出してしまった。
「…もうえぇです。ぶぶ漬けでも何でもお好きにしはって下さい。お先失礼して寝かせてもらいますわ。」
「えぇ?もっと話そうよ、これからが呪術師のゴールデンタイムでしょうが!」
「帰られる時は電気だけ消しとって下さい。鍵は掛けんとかまへんので。ほな。」
一方的に話を切り上げ、背を向ける。
相手はまだ何か言っているようだったが、それも一切無視した。
後を追いかけてくる気配は、ない。
よほど腹を空かせていたのか、それとも気が済んだのかは知らないが。
(…難儀なお人やなぁ……)
翌朝、目を覚ますと部屋の電気はきちんと消され、鍵もしっかりと掛けられていた。
ついでに言うと、隣で蒲団に潜り込む白髪頭を一目見て、朝から酒を浴びたい気分になってしまうのだった。
クレーム対応は地獄まで
(は無理だったので、とりあえず朝一で東京校の学長宛てに電話することにした)
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キリリクありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。