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>>2013/03/26 (Tue)
>>22:17
FFT86とFじわらTくみ(彼女)

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試乗受付中と書かれたパネルを見たのは、ふたりのうちどちらが最初だったか。

行きたいという希望を拓海が叶えてくれた、東京モーターショー。その帰りに立ち寄ったメガウェブで、展示車に乗り込んだり写真を撮ったり楽しんでいたときに、先程有明のトヨタブースで見てきたばかりの、新しいハチロク、FT86の流線型が見えた。試乗ブースに向かった私と拓海は、迷わずパネルにタッチして、試乗を申し込んでいるのだが。

「MTだろ」

「え、私運転したいからATにしてよ」

「オレだって走りてェもん」

「拓海は次の回にしてよ」

「次、ってもう時間埋まってんじゃん。MTな、MT」

「えー!」

そうなのだ。
何せ発表されたばかりの86はとにかく人気らしく、私たちが選んだ時間のみが運よく空いていて、それ以外の回はすべて埋まっていた。

「二名でお待ちの藤原様、どうぞこちらへ」

泣く泣く拓海の希望を汲んで、MTにした。

にしても、『藤原様』なんて。

ふたり一緒に呼ばれると、なんか、くすぐったいな。


拓海がスタッフさんから諸注意を聞いている間、私は待機ブースと窓ガラスを隔てた先、乗り場のロータリーに停まる車をじっと見ていた。

「白…」

カタログやCMでよく見かけた赤やオレンジかなと思っていたら、まさか、白、とは。

「似てないね、あんまり」

「何と?」

「拓海の、パンダちゃんと」

準備が整ったようで、ロータリーにふたりで移動しながら。

「後ろのちっちゃい三角の窓、2000GTをマネしてるんだって」

モーターショーのトヨタブースで聞いた情報を思い出した。

往年の名車を模したニューマシン。
その前継を今も操っている拓海。
彼がステアを動かしたとき、時代が繋がったような、不思議な感覚になった。



「どう?乗ってみて」

「このコースだとイマイチわかんねェなー。ストレート短いから踏めないし、コーナーも流せないし」

「…あのねぇ」

「……そうだ、峠に行こう」



えっ、藤原さん、ご購入ですか?!




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フューチャートヨタ

らしいですね、FTの名称って。

私ずっと『富士重工・トヨタ』かと思ってました…たくみじゃないのか…


去年のモタショで市販車見てきたことを思い出して。トヨタブースは人いっぱいでした。どこでもドアもあった。メガウェブの試乗、86は当日受付のみでかなりの人気で、私たちは乗れませんでした。なので代わりに拓海ちゃんに乗って頂こうかなと。

最後の言葉は86カタログから拝借して(笑)