繋ぎ目


テーマパーク、夜のパレードが終わった直後の、帰宅ラッシュ。たくさんのゲストが、出入口ゲートに向かっていた。私とお兄ちゃんも、その中にいる。30cm近く私より背の高いお兄ちゃんの後ろを、ぴったり離れないように歩いていた。

何度も人にぶつかって、お兄ちゃんと私の間に人が入ってきて、はぐれそうになった。背が高いから、お兄ちゃんを見失うことはなかったけれど。少し、人の多さに怖くなって、お兄ちゃんのシャツを、ぎゅっと掴んだ。


「あきら、平気か?」

「う、うん、少し気持ち悪いけど、大丈夫」



夏の夜、昼間にたっぷり蓄えた熱が地面から込み上げ、人の熱気が、それを更に上昇させている。




(ちょっと、ヤバいかも…)




ずっと前から楽しみにしていた、お兄ちゃんとふたりだけのテーマパーク。


家に帰るまで、元気でいたいよ

一日中お兄ちゃんと一緒で、すごく楽しかった

だから、




「無理するなよ、もう少しだ」




シャツを掴んでいた私の手が、お兄ちゃんのそれと繋がった。




「……お兄ちゃん、手、いいの?」

「さっきみたいに、危ない目に遭わないように。オレから離れるなよ?」




ちょっとゴツゴツして、大きい、お兄ちゃんの手。




つないだの、いつぶりだろ





うれしい



うれしい



今日、何度も繋ぎたくて、ドキドキしてた。


恥ずかしくて、手を出す勇気がなかったの。



うれしい



大好き、お兄ちゃん





数分後(何分かかったかなんてわからないけど)、ようやく開けた場所に出た。

丸い地球儀のある、ゲートだ。



手は、繋いだまま。



「具合は大丈夫か?あきら」

「うん、大分よくなったみたい。ありがと」



実のところ、人ごみの中で手を繋いでから、体調のことなんてすっかり忘れてた。

それだけ、ドキドキしてたの。



「でも…、手、繋いでたら、カップルに見られちゃうよ…」



少し、恥ずかしいから、お兄ちゃんの顔が見られなかった。




「オレは寧ろ、そうであってほしいんだけど?」



繋いでいる手を、更にぎゅってしながら、私を覗き込んだ。

暗い夜、ライトアップされたゲート。

私の赤くなった顔を知っているのは、目の前の、お兄ちゃんだけ。




「大好き、お兄ちゃん」



「オレも」




額に触れたキスが、デートが終わりの合図。




「また来ようね」



「ふたりで、な」















帰り運転するか?FC。

いいの?!やったぁ!

あんまり飛ばすなよ、ってコラ、公道で100キロオーバー出すんじゃない。

ひゃー!加速すごーい!はやーい!たーのしー!

(今日一番の笑顔をFCに取られるなんてな…)











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8月下旬に実兄とふたりでUSJ行ってきました(OPとMH/だんなさまはお留守番!)なのでおはなしの舞台はUSJ設定。群馬からだと確実にTDSのが近いですよね!地球儀のあるゲートって書くと東か西かわからない…笑

パレードの人ごみ&手を繋いで、実話。人の波って怖いですね…。兄と手を繋いだのは私の結婚式以来だったから、嬉しかったなぁ。


2012,8下書き
2012,9アップ