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>>2013/04/04 (Thu)
>>16:04
HHoney at Home(涼介)

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"待つ人がいる"ということがどれだけ自分の活力になるか、なんて、独りのときは考えもしなかった。

彼女が生まれたときからオレは傍にいたけれど、あのときと今とは、お互いの存在理由が明らかに違い、明らかに、大きくなった。

両親が居る"帰る家"があるのにそうしないのは、彼女、妹とふたりだけの時間を、もっと作りたかったから。適当な理由をそれっぽく両親に伝え、『ルームシェア』を始めて半年が経つ。

お互い忙しい身ではあれど、少しのときでも彼女の姿を見ていたい。こんなにも、安心する存在なんだ。


「お帰りなさい、お兄ちゃん」

「ただいま。すまん、遅くなった」

「でも、いつもより早かったね、お疲れ様」


22時。

彼女の方が先に帰宅していて、ダイニングテーブルには夕食の支度が整っていた。もうすぐで着くとメールをしておいたので、オレの帰宅に合わせて温めておいてくれたのだろう。


「先に済ませておいてくれてもよかったんだぞ?」

「ううん、私も仕事が残ってたから、やりながらお兄ちゃんの帰りを待ってたの」


オレからジャケットとバッグを受け取りながら、彼女は続ける。


「……っていうのは、タテマエで、」

「うん?」

「せっかく、ふたりで暮らしてるんだし、その、どんなに遅くなっても、ごはんは一緒に食べたいなって」


恥ずかしくなったのか、顔を伏せ、コレ置いてくるねとオレの私物を持ったまま背を向けた彼女を、そのまま抱きしめた。


「…おにい、「名前、」…え…?」

「言ったろ?一緒に住むと決めたときから、もう兄妹じゃないって」

「っ…はなして…っ」

「どうして?」

「はずかしい、から…!」

「オレしかいないのに?」

「お兄、ちゃんっ…」

「ホラ、言わなきゃ離さない」

「……りょう、すけ…っ」

「もっと、」

「ずるい、言った、のに…!」

「もっと、言って、ね?」

「もー!はなしてよう…!」

「ははっ、ダーメ」








「おい涼介起きろ、着いたぞ」

「涼介さん、起きて下さい」

「高崎を出てからここまで、一回も目を覚まさなかったんだぜ」

「何が一番効率がいいか、わかってるのさ、アニキは」

「悪い、松本。冷たい水を一本くれ」

「はい」




「……始めるか」






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お 兄 ち ゃ ん の 妄 想 で し た !


妹ちゃんとの将来を遠征の道中に夢描くDの頭脳、果たしてこれを『効率がいい』と言えるのか(笑)SSR戦のセリフを拝借して。