O
>>2013/04/27 (Sat)
>>15:30
OOfficelady On a One-piece(奥山/彼女)
**************
定時は17時。
現在、18時30分。
もうすぐで就業時間だった16時45分頃、部署のチームリーダーから頼まれた追加業務。リーダーの抱える量があまりにもたくさんだったから、頼まれたときは二つ返事でオーケーした。信頼を置く先輩だから、断ることも出来なくて。
特に忙しくもなく、まあ、少し遅くなっても17時30分には上がるつもりだった。そのようにメールしたんだけど、大幅にオーバータイムだ。たぶん、むすっとして、膨れてると思う。まずいかな、と、さっきから腕時計が気になって仕方がない。
「もしかして何か約束あったんじゃない?悪いことしちゃったわ…」
「あっ!いえ、すみません、時計ばっかり見てしまって」
「…小休憩しましょうか。待ってる相手が心配してるかもよ」
電話してきなさいと意味を含ませた先輩に甘えて、ケータイを持って部屋を出た。
短いひとつのコールで、つながる声。
『1時間』
「ごめん…」
いつ、私から電話があってもいいように、ずっと握ってたのかな、そう考えると嬉しくて。
って言ったら、
『パズルやってただけ。操作中にお前がかけてきたから』
だって。
「……ごめんね、待たせて」
『まだ?』
「ん…。終わる目途が、立たなくて」
『ふーん』
だんだん、言葉が少なくなってきた。機嫌が悪いのは明白だ。
「……今日、やめとく?待っててもらうの、悪いもん…」
『はァ?今さらかよ』
「だって…」
『お前、この雨でどうやって帰んだよ、めっちゃ降ってんぞ』
「うそっ…!」
デスクワークに集中してて全然気付かなかった。すぐに窓に駆け寄り、外を見る。
『夕方から崩れる、って大アタリだな』
「どうしよ…傘、ないよ…」
『……待つから、オレ』
「え…」
『店、閉まってたらさ、家でお前が何か作ってくれればいーし』
「……いいの?」
『ぶらぶら歩いてデートすんのは、また今度な』
「……怒って、ない?」
『真面目に仕事してるヤツに怒れるかよ。まあ、最初はちょっとムカムカしてたけど』
子供っぽいところがあって
(すぐ気持ちを出したりとか)
でも面倒見が良くて
(結局はやさしいんだよね)
男らしくて
(ちょっとワガママで強引だけど)
『がんばれよ、もうちょっと』
「…うんっ」
彼のために選んだ今日のワンピースの感想を訊くのは、また今度にしよう。
お天気の良い日、お買い物デートがいいかな。
褒めてくれるかな、彼のことだから、きっと照れながら、ぶっきらぼうに。
何て言ってくれるか、そのときまで楽しみにしておこう。
彼の大事なシルビア、同じように、私も愛してほしくて。
離さないでね、そう、想いを込めて。
レストルームの姿見の前で佇まいを正して、気合を入れた。
「ありがとう、広也」
鏡の中の青を見つめて、私は仕事へ戻る。
*********
不完全燃焼、奥山です。
あああぁあ難しかった……!!!ネタを探そうとすると頭がスパイラルになる恐怖の悪循環。池田と奥山でお話を書かれるサイトさまは本当に尊敬いたします…わたし、むり…!!
ちなみに青いワンピースは家主の自前をイメージしてます。が、決してS15を意識して買ってません 涼 介 さ ん 意 識 で す !