P


>>2013/04/28 (Sun)
>>17:56
PPrinces & Princess(涼介&啓介)

***************

底から浮上するような、ふわふわした感覚で意識が戻った。

同時に、腰と背中に、少し重くてあたたかい何か。

身体を動かさずに、顔だけそっと逸らしてみた。


……ああ、そうか、昨日


目を伏せた表情は、満ち足りていて。

何度も『ありがとう』と発した口唇からは、やさしい吐息。

腰にまわった細い腕、その先の小さな手、更に先には、幸せの象徴。


「もう、『アネキ』じゃねぇんだよな…」


横を向いて眠る啓介に寄り添うように、腕を腰に、額を背中に預け、まだ、夢の世界の住人だ。身体を反転させ、彼女を正面から抱きしめる。

起こさないように、いや、本当は、目を開けて、今日の最初に、自分を見てほしい。

開いているのか閉じているのかわからない細い目で、ふにゃふにゃした声で、名前を呼んで。


「世界でいちばん、かわいいよ」




これからも、ずーっと一緒だよ

わたしを選んでくれて、ありがとう


幸せな笑顔を何度も見せてくれた瞳は今は閉じられ、下目蓋の膨らみにそっと触れた。


「……笑顔の次は、いっぱい、泣かしちまったな」


満ち足りた気持ちを分け与えるかのように。

たくさん、たくさん、愛を囁いた。




誰にも邪魔されず、内緒の場所で、内緒に挙げた、結婚式。

アニキと、オレと、三人で。

穢れを知らない純白を着たアネキは、それはそれはキレイで、最高に可愛かった。

誓いの言葉と、リングと、キスと。

オレたちは、ひとつになった。




「啓介、起きたか」

「はよ、アニキ。もうちょい、待って」



先に起きていた涼介が、静かに扉を開けて覗き込む。

昨晩、大きなベッドに、川の字のように三人並んで。

まるで、子供の頃に戻ったみたいだと、嬉しそうに言っていた。


「ははっ、目、ぽんぽんだな」

「アニキがやりすぎたせいだろ」

「人のこと言えるのかお前は」




怒ったら超怖ェけど
(アニキ以上だ)

泣かれたらすっげぇ困るけど
(セックスのときとは別な)

どんな顔も、どんな時も、傍に居てやりたい。


それでアネキの笑った顔が見られるなら、オレたちは幸せだ。



「もう起こそうか。朝食にしよう」

「お目覚めのキス、しよっかなオレ」

「そういうモンは年長に回せよ」

「アニキ昨日誓いのときに、オレより先にキスしたじゃん」

「それはそれ、これはこれだ」

「ええー、ずっりーの」



オレたちの大事なプリンセス。

さあ、目を開けて。

可愛い声で、名を呼んで。

愛しい時間を、これから毎日、贈ってあげるから。







******************

プロポーズされたときの言葉を少し使いました。恥ずかしいのでどれかは言いません。

本日わたくしの嫁入り記念日。もっのすごい良いお天気になりました。10000hitが終わりましたら、少し長めのお話にリライトして、お名前変換でmainに上げます。

自分のための小話なので、お相手は例によって愛して止まない高橋で。しかし涼介さんにも喋って頂くつもりが、あれ、啓介、独、壇、場?