Buddy.


そこに何があるとしても

未開の領域へ きみと



「ただいま」

「おかえり、お兄ちゃん」


リビングでノートパソコンを開いて、報告書を添付し監督にメールをした、丁度そのとき。Dの打ち合わせで外出していた兄が帰ってきた。


「お夕飯食べてきたの?」

「ああ、ミーティングを兼ねてな」

「あれ、そういや啓ちゃん、は……」


パソコンを仕舞って、書類を整理して、帰ってきて一度も見ていなかった兄へ視線を向けた。


「………髪、」

「ん?ああ」

「……どう、したの?」

「似合わないかな」


そんなことない

ぜんぜん、そんなこと、ありえないけど、


「ちょっと、思うところがあってな」


心機一転、てヤツだ

神奈川に向かう、その前に


「あきら」

「なに?」

「これから、もっと忙しくなる。啓介と一緒に、家を空けることが多くなる。母さん達を頼むな」

「ん…、わかった。まかせて、お兄ちゃん」


でも、


「ちゃんと、帰ってきてね」

「ああ」


約束のキスを、大切なきみに


そこに何があるのか なんにもないのか 真白い原始の道

それでも臨むなら もう一度いま きみに追い風を


はばたくたび 気づかされる

二度と出会えない空があること

それでも飛び立つなら 未開の領域へ きみと


きみの翼になる

私が






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坂本真綾『Buddy』お借りしました


香織さんと妹ちゃん、どちらも涼介さんには不可欠なんですよ。自分の傍にいなくても、想いは途切れないし、いつも心に存在してるんでしょうね。歌詞の『きみ』、香織さん妹ちゃん、どちらとも読み取れるかと思います。


切なくて書いてて辛くなった…ほんとはチャラ髪でギャグにするつもりが←

2012,11アップ


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2012.11.30補足

上記で『きみ』は香織さん妹ちゃんどちらも取れると書きましたが、涼介さん凛さんとして考えることもできるなぁと、死神戦を読んで思いました。


自分が尊敬していた先輩に戻ってほしい・凛さんを助けたい、っていう涼介さんの想いが(敢えて『想』で)、凛さんを目覚めさせるための翼になる。

自分たちのエゴで香織さんを苦しめ、追い込んでしまった罪の償いのため、涼介さんと進む、先に何があるかわからない(香織さんの元か、ただの『死』か)未開の領域。

失った悲しみはあるけれど、それを力にして乗り越えた=香織さんの存在が涼介さんの追い風であり、翼。


妹は、涼介さんが何よりも大切に思う存在で、妹がいるから、守りたいと思う心が、涼介さんの原動力になっている。香織さんを守ることはで出来なかったけれど、もう誰も失いたくない、先輩も、愛する妹も。喪服を着て出かけるとき、ふと、思いつめるような兄の顔を見た妹が、『いってらっしゃい』って優しく言ってくれるといいな。

『待ってるから。必ず、帰ってきてね』

失ってすべて暗かった世界が『優しい世界』として見られるようになったのは、妹の存在。彼女も、涼介さんを動かす翼であってほしいと思うのです。


buddy=仲間、兄弟、相棒。

『打ち解けることが出来る相手』だそうです。原作で考えたら、妹の考察は啓介にあたるんだろうなあ。ううん…むずかしい…