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>>2013/05/29 (Wed)
>>22:51
U海と浮き輪とウルトラバイオレットレイ(豪/彼女)
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大抵、海辺の駐車場は砂地である。

海に行こうぜと言い出したからには当然出してくれるんだよね車と思っていたのに、オレのコイツよりお前のアイツの方が砂浜が似合うなどと言われ(要は海風に当てたくないんでしょうよ)、軽快に風を切るは愛車のパジェロミニ。パラソルやビーチベッド等はあちらでお借りするとして、諸々の手荷物を持って、お目見えしました太平洋。

車を出す代わりに運転を買って出た豪にハンドルを任せ、助手席の窓を開けて海風を嗅ぐ。しょっぱくて、熱い、夏のにおい。

しかし。


「ひー!肌がジリジリするよー!」

「そりゃこんだけ太陽が強けりゃな」


全身日焼け止めを塗った上からUVカットパーカを羽織り、目元を覆うビッグサングラスをしてきたけれど、どうにかならんものか、この紫外線は。


海は好きだ。せっかく海のある県に生まれたのだから、年に一回は必ず塩水に浸からないと何となく落ち着かない。

だが紫外線は別だ。メラニン色素なんぞ作らなくてよろしいのに。肌を黒く染め上げるこの厄介者め。


「お前、肌白いんだし、少しくらい焼いた方が良いとオレは思うがな」

「豪くんは将来私がシミだらけになっても良いと言うのかね」

「せっかく今年も来たんだぜ、もっと開放的になりやがれ」

「きゃっ!ちょ、なにすんのよ豪!」


普段絶対こんなことしてくれないのに、と思った直後にやってきた水音。


細いくせに、見た目よりずっと筋肉のある腕に横抱きにされて、そのまま海へポイッと投げられた。パーカもサングラスもそのままで。

突然投げられたことで驚愕したせいもあるけれど、どちらかと言えば、少々ワガママな王子が滅多にしないお姫様抱っこをしてくれたことで、心臓が喧しかった。顔が熱いのはきっと紫外線のせいだ。

中々海から上がって来ない(投げられたのは腰くらいの浅瀬)私へ、豪が笑いながら近付いた。


「くくくっ、頭からずぶ濡れだな」

「ごう…、しょっぱい」

「あとでかき氷喰おうぜ、それで口ん中リセットすりゃいい。それとも今すぐしたいか?」

「どうやるの」

「顔上げて目ェ瞑っとけ」

「…いいです。遠慮します」


さっきから翻弄され続ける私を見る彼は、ついこの前までよく見かけた憂鬱そうな顔とは天地がひっくり返るくらい、にか、という顔で、笑っていた。


自ら投げた私を助けるためか、その手には、赤いボーダーの浮き輪があった。





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昨年、浮き輪をパンクさせまして。毎年使っていたお気に入りだったのでショックでした…。で、最近新しいのを手に入れましたので、それをイメージ。

たぶん豪はよく笑うと思うんです。それがまぁ兄事件で閉じてしまったというか。なので解決した今、恋人と笑う時もあっていいんじゃないかなーと希望。

NSXで海はないかな(笑)オフロードはパジェロかランクルでしょう!