君は光、弟の心
たとえば、メールで
From>>啓介
Sub>>テーブルの上のやつ
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レンタル今日までだろ。
帰りに返してきてやるよ。
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(ついでに続編借りてきて、っと)
たとえば、キッチンで
「啓ちゃん何か飲むー?」
「カルピス作って!アネキ」
「失敗しても怒んないでね」
「オレちょっと濃いめが好き!氷いっぱい入れてくれよな!」
「はいはい」
たとえば、手紙を書くとき
「…ふう…宛名書きって緊張する」
「ンなもんさらさら〜でいいじゃん」
「目上の人に送るのよ。そうはいかないわ」
「……アネキ、めっちゃ字きれー…」
「あら、うれしい。ありがと」
「やっぱいい名前だよな、『あきら』って。オレ好きだよ」
「……ッ、ぁ、りがと」
たとえば、部屋で
「あーねきー、入るぜー」
「ごめん、もうちょっと待ってて」
「そんな念入りに化粧しなくても変わらねンじゃね?」
「…今世界中の女の子を敵にしたわよ啓ちゃん」
「そうじゃないってば。アネキは肌キレイだから必要ねェってこと!」
「う……(この天然タラシめ…!)」
「そういやなに着てくの、今日」
「ん…まだ決めてない」
「まじ?じゃあさ、オレ決めていい!?」
「…いいけど、あんまりクロゼット漁らないでねってうわああそこランジェリーケース!」
「うっわエロ…アネキ黒のブラなんて持ってたんだ…。な、今度これつけイッテェエエ!!」←ビンタ
たとえば、車の中
「アネキ、次ヘアピン」
「ん」
「……いっつも思うんだけどさ」
「なあに?」
「よく直せるよな」
「…ああ、車の中でメイク直し?」
「めっちゃブレねぇ?」
「振動を味方にするまでには時間がかかったわ」
「……ほかのヤツの前で絶対すんなよ」
「え、見苦しい?」
「ちげーって」
(ンな無防備なトコ見せるなっての、気付けばぁか)
たとえば、ソファ
(啓ちゃん、寝ちゃった…)
「……かー……」
(膝…動かせない…ブランケット、もう、ちょっと、届)
「ほら、」
「お兄ちゃん、ありがと」
「くっついて離れないんだな、いくつになっても」
「えへへ、かわいいから許す」
「啓介が起きたらオレの部屋に来るように言ってくれ。話があるから」
「ん」
「…あとでオレも膝枕な、あきら」
「えー、どうしよっかなあ」
(……聞こえてんだよアニキ。ゼッテェ譲らねェし部屋にも行ってやんねェからな)
どれもこれも、一緒にいるから、できること。
きみは光。ぼくの心を灯す、あたたかい粒の集合体。なくてはならない、一生、ぼくの、やさしい姉。
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主人のメールによって発展したお話、啓介編。『オレはねーちゃんに甘えたい』という気持ちを込めて普段より子供っぽくしてみました。拓海が見たら驚くくらい、姉ちゃんにベッタベタな啓介です。
2013,9月アップ