年賀状2


※前回感謝文『年賀状』のつづき※変換なしです



あの写真を撮るために、一体どのくらい時間がかかったのだろうか。

きっと、一発OKってことにはならなかったと思う。



「ごめんくださーい」



お豆腐を買いに来ました。



「今でまーす」


奥から聞き慣れた間延びした声が。


「こんにちは拓海くん」

「わ、こんにちは!」


びっくりしたー、と大きな瞳が更に開かれた。


「初詣以来だね、久しぶり」

「そうですねー、そういやお正月いい天気でしたよね」


藤原も呼んで初詣に行こうと提案したのは啓介で。

赤城神社にお参りして、みんなで色違いの『交通安全お守り』を買って。

金色と赤色と緑色、啓介が迷いなく金色を選んだもんだから、赤と緑で拓海くん随分悩んでた。


「啓介さんとお揃いって、ちょっとなあって思いましたもん」

「拓海くん、金色って感じじゃないもんね」


私とお兄ちゃんは赤で、拓海くんは緑を選んだ。


「そうだ、拓海くん、訊きたいことがあるの」

「何ですか?」


お豆腐を買いに来たのもそうだけど、渋川に来た目的を果たさねば。


「あの年賀状、大変だったんじゃない?写真」

「……二度とやりたくないですね、あれは」


絹ごしと木綿、おまけで付けてくれたにがりを袋に入れた拓海くんは、どこか遠くを見つめていた。


「で、でもカッコよかったよ、流し撮りのハチロク」

「樹にカメラ頼んで、俺が運転して、撮影には親父も立ち会って……親父が納得するアングルで撮れるまで、やり直しでした」

「(やっぱり仕掛け人は文太さんか……)ウチの兄弟、スゴイって褒めてたよ」

「営業DMみたいでちょっと気乗りしなかったんですけど…気に入ってもらえてよかった」


撮影を思い出していた拓海くんの苦い顔が、やさしく綻んだ。





そんな柔らかい表情の彼に、まさに『営業DMみたいだ』と笑っていた啓介のことなど、言えるはずがあろうか。


ああやっぱり拓海くんの笑顔って天使、と的外れなことを考えながら、その場をやり過ごす、高橋家の長女でありました。




「他に誰に送ったのか訊いてもいい?」

「秋名とDのみんなには出しましたよ、お世話になってるし」

(拓海くんマメだ……!お豆腐屋さんなだけに……!)








***********
2013,1〜2ぱち感謝文でした。

ひとつ前の年賀状のお話、皆さまのお気に召して頂けたようで嬉しいです。

そのお礼も込めまして、最初京一さんだけだったのですが、後日拓海も追加。ありがとうございます(^^)


2013,3アップ