桃の節句
※変換なしです
桃の節句
女の子が、可愛らしく健やかに育つよう、祈りを込めて。
灯りをつけましょう
お花をあげましょう
座敷には、煌びやかな七段飾り。
母が嫁入りの際に持ってきた道具のひとつで、今は私が受け継いでいる。
家に帰り、襖が開いていた和室の景色に、息を呑んだ。
思わず畳の上で正座して、背筋まで伸ばしてしまう。
お雛様の前で、だらしない姿など見せられない。
しん、と静かな和室には、雛飾りと自分のみ。
母が少女だった頃を見守っていたこの雛たちは、自分がそうだった頃のことを、果たして覚えてくれているのだろうか。
雛人形と一緒に飾ってある、幼い頃に蹴って遊んでいた刺繍の鞠を手に取り、想い馳せた。
和室の襖が開いていたので、中を覗くと妹の背中。
姿勢を正し、考え事でもしているのか、やけに静かだった。
今の時世には珍しい、七段飾りの雛人形。
愛する妹が可愛らしい赤い着物を着て喜ぶ幼い姿を、懐かしく想う。
「日中、高橋のお祖父さんとお祖母さんが飾ってくれたらしい」
「わ、お兄ちゃん!……お家に居たの、気付かなかった」
驚き、ごめんねと謝る妹の隣へ座る。
「母さんからこんなメールが来てたぞ」
見るか?と渡された、ネイビーのスマートフォン。
From:母さん
Sub:今日は雛まつり!
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大学が終わったら今日はどこにも行かず家にいること!お父さんとお母さんも早く帰れるので、久し振りに揃ってお夕飯にしましょうね。お祖父ちゃんたちも来るわよ。
「これ、私も同じ内容の届いたよ?」
「その下。まだ続きがあるから」
涼介の指が、スクロールした画面には
PS
どうやらウチのお雛様にはまだ『お内裏様』がいないようだから、当分は涼ちゃんと啓ちゃんが守ってあげること。今年も頼むわね。
「お母さんてば何てことを……」
「オレたちは役得だけど?」
母公認なんて、嬉しいじゃないか。
「当分、なんて言わず、ずっと、お前はオレたちのお雛様だよ」
啓介が帰って来ない今のうちに、少しだけ抜け駆けして。
白桃のようなほの甘い頬に、やさしいキスを贈るよ。
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2013,2下旬〜3/3まで短期間の感謝文でした。
実家に行ったら私のお雛様(七段!)が座敷に鎮座していました。
わたし、嫁に行ったはずでは(^^)
2013,3アップ