極夜


※北条家末妹









朝目覚めるとすぐ 

あなたのこと思い出して

もう一度目を閉じる

あといくつ眠れば 

悲しいこと

氷のように溶け出して 

涙になるのだろう









(いいな、豪兄さんは。凜兄さんに教えてもらえて)

(お前も免許取ったら富士に来ればいいだろ)

(高校生になったばっかりだよ?あと3年も免許取れないじゃん)

(3年なんてすぐさ。そのときはちゃんと教えてやるよ)

(ほんと?約束ね、凜兄さん!)

(ああ、待ってるよ、あきら)












のぼらない太陽 

凍った星

時が止まることはない 

それでも

あなたがいないのに 

私はいる

祈りは誰に捧げて 

誰を救うためにあるの







(大学の後輩に、熱心な車バカがいるんだ)

(凜兄さんよりバカな人っているの?)

(コラ、)

(えへへ。どんな人?)

(かなりキレ者だよ。俺が教えたことをすぐ吸収していく)

(教えてもらえていいな、その人。私も早く18歳にならないかな)

(あきらが初めて乗る車、何がいいか考えとけよ)

(それは凜兄さんと一緒に決めたいな、いいでしょ?)






音をたて 

震えながら

狂おしいほどに

生きている 

生きているわ

生きている 








(どこに、いったの、ねえ、凛兄さん、)

(忘れろ、アイツのことなんか)

(なんで、ねえ、豪、にいさん)

(………泣くな、あきら。俺がいるよ)

(りん、兄さん、やだ、どこ……?)









始まるわ 

新しい日が

始まるわ 

ここに

なにもかも呑み込むように

始まるわ 

また









「凛兄さん」




「……久しぶりだな」




「今までどこにいたの、なんて無粋なことは訊かないわ。戻ってきたのね、峠へ」




「……ああ」




「豪兄さんのところ、行かなくていいの?こんなに近くにいるのに」




「今更、」




「豪兄さんがツンツンしてるの、凛兄さんのせいよ?昔のやさしい豪兄さんは、どこにもいない」




「……すまん……辛い思いをさせたな……」




「豪兄さん、口ではいつも凛兄さんの文句言ってたけど、本当はずっと寂しかったと思うの。時々、悩んでるようだったから……」




「そう、か……」




「…………私だって……また、3人一緒にいたいって、ずっと…っ…」




「……」





「わたし……、もう、ハタチ、だよ……っ、とっくに、免許も、とったんだよ……!」




「あきら、」




「……っ、どこにも、行かないで…!凛兄さん……!」




「……傍にいるよ。約束する」




「……っおかえり、なさい…!」




「……ただいま、あきら」









いつかどこかで会えるまで


遠くにいる 


少しだけ












****************
2012,11〜12ぱち感謝文『11月23日イイニイサンの日』そのA北条さんちの場合

高橋家のお嬢さんがあなたの妹だったら、というもしもssで、北条家末妹でした。


ややシリアス。



年齢操作が難しいです北条。

きまぐれオレンジロードスター大宮さん(←)が、『弟の豪とは世代が違いすぎてサーキットでやりあったことがない』云々言ってましたので、凜さん(27)と豪ちゃんは歳の差があるんじゃないかと。そこで家主捏造、豪ちゃん(22)で啓ちゃんとタメにしてみました。で、妹ちゃんは更に凛さんと7歳差で。『お前には素質がある』と凜さんが富士で話していたとき、豪ちゃんかなり幼い印象でしたね。まあ、23歳であの貫録もどうかと思うよ、凜さんヽ(^o^)丿



2013,1加筆





おまけ↓






(……この後、抱き締めてやりたいな……ところで涼介じゃなくて本当に俺の妹にならないか)

(お兄ちゃんは許しませんよ)

(こんな可愛い妹居たらモチベーション上がるわー)

(ッざけんなNSX野郎!!)

((……というか北条さんたち濃いから私ちょっと苦手なのよね……))




おそまつ!