主人公、仲間に取り調べられる
■ ■ ■
「さて、どういうことだろうか」
まるで警察の取調室の一幕だった。場所は取調室ではなく、ダイニングキッチンのカウンターであるし、目の前に置かれているのはカツ丼ではなく朝食のトーストとハムエッグである。しかし、コウヘイが寝癖をつけた少年――ケイマを問い詰める様はまさにそうだった。ケイマは不思議そうに首を傾げた。
「なんのことだ?」
「おっ、しらばっくれてるのかガチでわからないのかわかりづらい反応だなぁ。まぁ、とりあえず、ケイマくん、これをみたまえ」
そう言ってミドリはタブレットの画面に先程のニュースをうつす。ケイマはハイハイと食パンを齧りながらタブレット画面をみつめた。
「どうせいつもみたいに怪盗を讃え――ちょっと待て」
流れてきたニュースにケイマは動きをとめた。そんな訴えが聞こえるはずもなく、ニュースキャスターはニュース原稿を読み上げる。昨晩クーリッドホテルというホテルに怪盗ルパンズの予告状が届いたのだという。お目当てはホテルに飾られている二振りの日本刀である。ケイマはそこまでニュースを眺めるとタブレットを触った。数十秒動画を巻き戻してから一時停止する。それをよくよく眺めるとケイマは改めて口を開いた。
「俺じゃない。筆跡が違う。これは34件目と同じ筆跡になってる」
「は?」
「俺はワザと予告状ごとに筆跡を変えてるんだよ。筆跡でバレたら話にならないからな。これは34件目、ニューヨークに住む商社マンの筆跡を完璧にコピーしたときの予告状のサイン」
ケイマはそう言ってタブレットを端に置いてサラダをフォークでついた。一人黙々とハムエッグを食べていたハルが口を開く。
「じゃあ、予告はスルーってことでいいのかな?」
「そうはいかないんだよなー、この手のやつを放っておくと俺たちの名前に傷がつく。上乗せで予告入れる」
「なんだと?」
ようやく朝食を食べ始めていたコウヘイが眉間にシワを寄せて口を開く。
「スパンが短くないのか? お前が騒ぎを起こすのはだいたい一ヶ月に一度だろう」
「まぁーな、一人だと色々大変なんだよ。その点、今は3人も仲間がいる!」
ケイマはそう胸を張りながらマグカップに口をつける。そして、咳き込んだ。うぇ、っと舌を出したケイマはミドリをみる。
「ミドリ、俺はコーヒーじゃなくて紅茶派なんだけど」
「砂糖たっぷりミルクコーヒーにしてもダメか……」
「牛乳と砂糖をいれたら済む話じゃないんだよなぁ」
ケイマは苦い顔をしながらミルクコーヒーを飲み干した。
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