また意味のわからん思いつきをした団長様により、俺たちは調査に出ていた。なんの調査?知るか。そんなの俺が聞きたい。これまた不幸な事に、今回は国木田まで巻き込まれていた。気の毒だが同情はしない。
俺の方がよっぽどあいつの黒を白だと言い、世間一般様とは違う道を時速100kmで突っ走るような所の巻き添えになっているはずだ。
今日、いつもなら、朝比奈さんを目当てに来そうな谷口が居ないのは赤点を取ったことによる居残り指導を受けているからだ。馬鹿を実写化したらこうなるだろうと常々思う。人の事は言えないがな。
「ねえ、ちょっといいかな」
さっきから、ハルヒに頼まれ土を掘り続けていた国木田が口を開いた。
「なんだ?」
仕事を変われという依頼ならお断りだ。俺は昨日散々仕事をさせられた後だ。それにあの爆弾女が何を言い出すかわからん。
「違うよ。相談にのって欲しいことがあって。」
国木田が相談をするなんて事は珍しい。今までで1回、2回あった程度じゃないだろうか。
「キョンは、鶏と卵の話を知ってる?」
鶏と卵といって、親子丼を作るとか言う訳ではないだろう。
「鶏が先か卵が先かっていうあれか?」
「そう。卵は鶏が生んで誕生するけれど、鶏は卵からかえることで鶏へと成長する。だったらどっちが先かなんて分からない。僕は最近、いつもこの話を考えるんだ。」
何が言いたい。そんな周りくどく話をすすめる奴は副団長様だけで十分だ。これで国木田までとなったら頭が痛い。ますます朝比奈さんの笑顔が眩しい。今日とてハルヒ特製メイド衣装に身を包み、懸命に話を聞いている。その姿は天女だ。出来ることなら、今すぐ手を差し伸べてやりたい。何も出来なくてすみません、朝比奈さん。
「実は、最近気になる人がいるんだよね」俺が話を聞いていないのなんか気にしていないのか、国木田が話をすすめる。
どうやら恋愛相談だったらしい。俺に恋愛について聞くな。それに国木田には過去に想い人を聞いた筈だ。
「鶴屋さんだろ?」
何度も話さなくても三歩歩いたら忘れる鳩じゃないんだ。覚えている。そりゃ長門みたいに全てを覚える訳じゃ無いが。そんなことが出来たのなら、先月の試験で神も白目を向くような点数は取っていない。
「それが今気になっている人は彼女じゃないんだよね」
驚きだ。鶴屋さんを想いこの北高に入学した国木田が心変わりをするなんて想像もしていなかった。
「俺が知ってる奴か?」
俺は不本意だが毎日のようにSOS団の活動とやらをさせられているため、学年にそう知り合いはいない。
「一日に一回は話してる筈だよ」
「ハルヒか?!」
あの破天荒を絵に描いたようなハルヒが好きとはな。どことなく鶴屋さんと通じる所があるような気もする。
「いやだなキョン。涼宮さんじゃないよ。」
ハルヒじゃないとなると、必然的に長門か朝比奈さんだ。
「あっもちろん長門さんでも朝比奈さんでもないよ」
じゃあ誰だ。俺が居ない間に情報を書き換えるかあの時のように世界が改変でもされていない限りそんな奴は存在していない筈である。
「そのうちキョンも分かると思うよ。ただ伝えておこうと思ってさ」
結局言わないなら何の為に俺に言ったんだ。まあ良いさ。こんな事で相談になったんならさ。
俺は数日後、衝撃の事実を知る事になる。