厚「…ニ…クい………にくイ……さにワ………!!」


浦「いた!見つかったよ!」


堀「頑張ってね青江さん!」


青「いや、君たちも走るんだからね?」


厚「コロスッ!!!」


浦「来たぁあああ!!!」










乱「……行ったみたいだね」


『はい。向こうはお任せしましょう』



物陰から出て誰もいなくなったのを確認し、私たちも目的地へと進んでいく。

この本丸に張ってある結界は二つ。一番大外に張ってある結界と、建物に張ってある内側の結界。

まずはこの内側の結界を解かないことには外に出られないし、この結界のせいで空間が歪み、時間遡行軍が現れやすくなっているのだ。

地下で出会った時間遡行軍は瑪瑙さんが倒しつつ鬼ごっこをしながら引き付けてくれているし、現在警戒しなければならなかったのは厚藤四郎だけ。どうしようかと迷った末の決断が…



薬「よく厚も″あんなの″に騙されたな…」


乱「ほんとだね。失礼にも程があるよ」


『そうですか?』


今《そうですよ!あるじさまと青江じゃ″つきとすっぽん″です!!ね、小夜くん》


小夜「うん…。厚、酷い」



作戦が無事成功したのですから頷かないでくださいな。青江さんにも失礼ですよ、ソレ。

厚藤四郎が狙ってくるのも審神者だ。私か瑪瑙さんしか狙われない為、結界を解く前に鉢合わせて戦闘になるのも厄介だった。

そこで考えたのは身代わりというなんとも安直な作戦で、その役目を負ったのが青江さんだ。

瑪瑙さんに似ている刀剣はこの中にはいない。
私と青江さんでは身長差もあるし似ているわけでもないのだが、彼ならば髪は黒ではないけれど長いし、後ろ姿だけでなら見間違えてくれるんじゃないか、というのが浦島さんの意見。

それなら私の霊力を纏わせた私の上着を羽織ってもらえば向こうから寄ってくるのでは、というのが堀川さんの意見。

そして本当に寄ってきた厚藤四郎により、青江さんたちは追われていった。
…まぁ、言うなれば仲間二人に青江さんは売られてしまったわけだ。すみません、青江さん。



『とにかく進みましょう』



ワイシャツとベストだけだと流石にちょっと寒い。早いとこ終わらせて帰ってお風呂に入りたいです。


瑪瑙さんと話し合った役割分担は、瑪瑙さんたちが時間遡行軍と厚藤四郎を引き付けながら、時間遡行軍の現れる空間の歪みを探し出す。

その間に、私たちが内側の結界を解きに行く。解いた直後、瑪瑙さんが空間の歪みを破壊し、敵がいなくなったところで厚藤四郎の浄化という流れになる。


 

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