真「…というわけで、一週間後に行われる審神者会議に刀剣男士を二人連れてくること!コレ絶対ね!」


『…″絶対″…なのですか?』


真「絶対!!
(じゃなきゃ私がシロに殺される!!)」



何やら必死ですね、真黒さん。

出陣から戻った直後に携帯鏡から通信が入り、繋げてみたらやはりというか真黒さんで、会議についての説明をされて冒頭に至った。月に一度の会議だから合わせてシロのお見舞いも同日に行くようにと。

本当は刀剣男士は一人でも良いらしいのだけど、恐らくシロに私を説得するようにとでも脅されたのだろう。あの子、刀剣男士に会いたがっていたし。



『まぁ、そういうことならわかりました』


真「ほ…っ。クロが聞き分けの良い子で良かったよ。切実に」



そんな大袈裟な…。

でも、真黒さんからすれば妹が一気に三人に増えたのだから大変なのだろう。

特に瑠璃様は我儘なところが多いし、シロもシロで結構暴走するタイプだし。
…私?どうなんでしょうね?



真「で、その格好ってことはまたクロが出陣したの?刀剣男士たちとは和解したんでしょ?」



刻燿を背負ったままの私を見てそう訊ねられた。



『はい。でも今日の出陣は私を含めた六人編成を一組。他の皆さんには役割分担して働いてもらっています』



今日から本格的に仕事を始めることになり、最初に皆で集まって話し合った。

馬当番、畑当番、食事当番、洗濯当番は毎日ローテーションし、私も空き時間にはそれぞれお手伝いすることにした。やらなくて良いって言われたけれど、本丸内の状態や皆さんの様子を見るためにもそこは譲りません。

問題は出陣部隊の編成だった。話題に出せばやはり嫌な記憶が蘇ったのだろう、暗い表情をする者が多かった。
でもこればかりは私も話を逸らすわけにはいかない。寧ろ出陣して歴史改変を防ぐことこそが本来やるべき仕事なのだから。



真「私が言うのもなんだけど、刀剣たちよく出陣してくれたね。どうやって説得したの?」


『説得も何も…。現在の皆さんの強さや今までの個々の出陣頻度と……』


真「と?」


『…皆さんのお気持ちを教えて頂いて役割を決めただけです』









皆の力にどれだけの差があるのかを知りたかった。だから、明確ではなくとも出陣回数が多かった、少なかった、全く出陣しなかったというそれぞれの錬度を教えてもらったのだけど…。



『(…まさか、過去まで語ってくれるとは思いませんでした)』



初期刀の加州清光は前にも話した通り、初めこそ部隊長を任されていたものの、珍しい太刀が現れた途端に構われなくなって部隊長を外され、広間に放置。数年間は戦闘に立っていない。

薬研藤四郎、前田藤四郎、乱藤四郎、五虎退、今剣、小夜左文字の短刀六人は第三部隊として専ら夜戦だけを繰り返していた。
しかし手入れはされず、折れたら少ない資源で再び鍛刀。本丸の決め事を説明する手間を省くために記憶も蘇らせ、また出陣させられる。
見兼ねた一期が前任に懇願するも、鍛刀されたばかりの弟たちが真っ二つに折られてまた鍛刀され、出陣…。彼らは前任の機嫌が悪い時にも憂さ晴らしに何度も折られたという。

薙刀の岩融も振り幅が広いため毎回出陣を強制。しかし彼も手入れをされなかったために折れる寸前までの重傷を負った。

珍しいと言われている三日月宗近、小狐丸、一期一振、鶴丸国永は前任の夜伽相手。出陣は一度もしていないらしい。

その珍しい刀の中でも江雪左文字は初めてこの本丸に現れた太刀だそうで、最初こそ夜伽相手もさせられたそうだけど、どうも前任に気に入られることは無かったらしい。
夜伽から外された後は第二部隊の隊長として出陣の繰り返し。和睦を求める彼にとっては地獄の日々だっただろう。

その第二部隊は江雪左文字の他、鯰尾藤四郎、堀川国広、鳴狐、大和守安定、岩融で編成。

第一部隊には部隊長をへし切長谷部。主に忠実な彼は近侍としても働いていたそうだ。
隊員は大倶利伽羅、和泉守兼定、宗三左文字、骨喰藤四郎、太郎太刀が入れられた。

そして、刀として扱われることも無く、まるで家政婦のように炊事洗濯をこなしていたのが燭台切光忠。
彼は前任に食事を運ぶ等、関わる機会が多かったようで顔を合わせる度に説得を試みていたらしい。
けれど結果は毎度変わらず、本体に一本二本と嬲るように傷が刻まれ、呼びつけた大倶利伽羅を目の前で叩き折られる等、心身共に返り討ちに合った。

刀剣男士の中で次郎太刀は前任が解雇される一週間前に鍛刀されたらしい。
前任についてはそれほど知らない…かと思いきや、その一週間で太郎太刀と代わる代わる出陣していたんだとか。これはボロボロの兄、太郎太刀を見て次郎太刀が自ら望んだらしい。


 

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