「…という本丸に向かいます」
「は?えっ?ちょっと待て!今のどう考えても途中だろう!?」
「それ以上の資料はありません」
「はぁああああ!!?」
と、言われましても。本当にここまでのことしか書かれていない為、私にも不明なことだらけなのだ。
この審神者がいなくなったとはどういうことなのか。負ける苦悩に堪えきれずどこかに逃亡したのか、或いは自害したのか。契約を結んでいる刀剣たちが手を下すことは基本的には出来ない為、殺されたという線は薄いと思うのだけど…。
「ふむ…。しかし、それでは何故政府はそこまでの資料を持っておるのだ?」
「確かに。ここまでわかっておいて何故放置しておったのか。それ以降を知らぬというのも納得がいかんな」
「…憶測ですが、その審神者は狂いながらも書類等の提出は怠っていなかったのでしょう。資料を見たところでは真面目で自尊心が高い方だったようなので」
プライド高かった彼は政府の期待に応えようと必死だったのだろう。刀剣を折ったという情報が出た時点で厳重注意はされていそうだけれど、政府もどこまでを判断基準にしているのかはわからない。
元々そんな真面目そうな役人なんてあまり見たことありませんし、政府に期待する方が間違いなのでしょうね。真黒さんくらいですよ、信用できるの。
「刀剣の数はわかっていません。元々いた数も折られた数も明確ではないので」
「…聞いた限りですと、それほど多くは残っていなさそうですな」
一期のいう通り、いたとしても審神者が愛用していた太刀以上が数人といったところだろうか。運良く折られなかった短刀たちもいる可能性もある。
「それから、今回の特別任務は瑪瑙さんの隊と共に行動することになります」
「この間お見舞いで見た人だね」
特別任務は特殊だ。黒本丸という練度のわからない場所に踏み込まなければならない為、一人の審神者だけで挑みに行って返り討ちにあっては堪らない。
よって、最低でも二組の本丸がチームとなり、それぞれが刀剣男士を連れて共闘しに行くことになる。
「先程、瑪瑙さんが連れていく刀剣男士も教えてもらい、それを踏まえた上で薬研と長谷部の意見を取り入れて部隊編成を組みました」
「ちょっと疑問だったんだが、なんで薬研と長谷部なんだ?」
「文句があるのか?」
「いやいや、本当に純粋な疑問だって!」
「それボクも気になる!なんで薬研?主さんの初期刀だから?」
「おい、乱」
「だってさぁ」
「こらこら、揉めない。ですが主、何か理由があるのであれば私もお聞きしたいです」
あ、一期も止めておきながら気にはなっているんですね。加州や光忠たちも声に出さずとも目が訴えてきていますし、今剣は身を乗り出しています。
言う程の理由では無いのですが…。
「長谷部は鍛練場で何度も先生をやって頂いてますし、それぞれの練度や戦法を詳しく理解しているのも長谷部です。なので、長谷部の意見は是非参考にしようと思って呼びました」
「光栄です、主」
(わぁ…)
(((((凄く嬉しそう…)))))
「任務は夜の屋内戦になりますので、太刀以上は問答無用でお留守番。部隊も短刀中心で組んでいます。薬研は短刀の中でも一番練度が高く、私と戦闘に立った経験もありますから、私の近侍兼部隊長を薬研にお願いしようと」
「「「「えぇえええ!!!?」」」」
「?」
え?何ですか?
何で驚いてるんです?
「私、今変なこと言いました?」
「いいや?何驚いてんだ?」
「何を二人揃って首傾げてるのっ!?」
「主さんの近侍ってずっと薬研だったんじゃないの!?」
「は?」
「長谷部が黙って聞いてんのも驚きだな!!」
「圧し切るぞ貴様」
何やらそれぞれいっぱい意見があるようですね…。
どこから何と答えて良いものやら。