さぁ壊すぞと意気込んだところで、大声で呼ばれたと思ったら薬研に羽交い締めにされてしまった。何故?



「??どうかしましたか?」


「大将…そりゃこっちの台詞だからな?」


「君はここで何しようとしてるんだ?」


「何って……」



目の前で通せんぼする鶴丸とその後ろにある部屋の襖、振り上げている大太刀を見て、頭に浮かんだ言葉をぽつり。



「…破壊しようと?」


「「なんで!!?」」



いや、なんでって言われましても。
とりあえずは落ち着こうと言われて刀を下ろすと薬研も放してくれた。落ち着くのは貴方たちだと思うのだけど。



「残しとくの、嫌じゃないですか?この部屋」


「嫌だぜ。今すぐここから立ち去りたいくらいには」


「なら、壊しましょ?」


「大将…、だからなんでそこに行き着くんだ」


「私も嫌なので。嫌な思い出の残る部屋があるのは」



出来ることならここだけスッパリと切り離してしまいたいけれど、家の一部となるとそうもいかない。
それならこの部屋の中身全てを取り壊して廃棄処分し、誰も入れないように封印してしまおうと考えたわけだ。



「汚いですし、大事なもの、ここには無いのでしょう?誰も使っていないみたいですし」


「……まぁ…」


「では、壊します。気分、悪くなるでしょうし、広間にいてください」


「…君は大丈夫なのか?昨日あんなに苦しんでいただろう」


「昨日は、予想以上に驚いただけです。もう大丈夫」



あれくらいのことで膝をつくなんて屈辱的だ。もう失敗はしない。負けない。
ということで、再び襖の前に立つと背後から溜め息が聞こえた。ついでにチャキッという音も。



「まったく、清々しいくらいに真っ直ぐで驚きだぜ主は」


「同感だな。ま、おかげで俺っちも吹っ切れるってモンだ」



そう言いながら二人も自分の本体を構えた。どうやら彼らも過去を断ち切るために部屋の破壊に参加するつもりらしい。

大丈夫なのかと二人に目を向けたらにこりと微笑まれた。それなら手伝ってもらおうか。人手は多いに限るもの。



「いきますよ?せーのー」



嫌な思い出はいつまでも心に残ってしまうものだ。だったら思い出す原因となるものを全て壊してしまいましょう。

全部壊して処分して、新しい思い出を作れば良い。嫌なことが薄れてしまうくらいの良い思い出を。


 

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