本屋での出来事




「柊音」


米花書店と書かれた本屋の中にいる柊音を見つけた赤井は、そろそろ行くぞと言ってその腕を引いた。

「えーっ!んー、じゃあどれにしよっかな…よしっ!これにする!!じゃあ会計したらすぐ行くから待ってて!」


そう言った柊音は今し方自分が読んでいた本の隣にある、来月映画公開予定だとの帯が巻かれている本を取った。

そう…

まさかこの本がこの後柊音を後悔させる事になるだなんて思わずにーーー



「つ、疲れたああぁ!」

「疲れたも何も、そもそも会議だけで全く動いてないだろう」

「だからこそだっての!会議なんて一番気疲れするよ…」


ハァ、とため息をついて鞄を放り投げる柊音。

そのままベットにとダイブした柊音に赤井は苦笑し、柊音が放り投げた鞄を拾ってソファーに立てかけ…

ようとした瞬間、その中から一冊の本が落ちた。


「あ!そうだ俺今日本買ったんだった!ありがとシュウ!それ取っ……ん?」

赤井に向けて取ってと手を伸ばした柊音だったが、中を見た赤井が何故か動きを止めたのを見て首を傾げた。


「どうかしーーー」

「…会議が一番気疲れすると言ったな?」

「へ? 言ったけど…」

「そんなに体を動かしたくてたまらないのか?」

「えっ!? ちょっ、シュウ?!」


本を持ったままゆっくりと柊音が横になるベットへと近付いてきた赤井。

優しく額を撫でてくる赤井に違和感を感じ、柊音は体を起こして警戒するように赤井を見た。


「な、何の話?」

「まさかお前がこんな本を買ってるとは…」

「本?」


本なんて来月映画化されるという、確か恋愛系のものだったと思うけど…と柊音は困惑しながら赤井の持つその本を開いてみて、


「えっ!?!?」


開いた本のタイトルを見た瞬間、柊音は驚愕してあんぐりと口を開けた。


「な、何だよこのタイトル?!!ちがっ、俺が買ったのは確か…っ!」


慌てて柊音が本を閉じると、そこには『逢いたい人』というタイトルと、来月映画公開予定!と書かれた帯が巻かれていて。


「な、なのに何で?!えっ?!!」


それなのに開いた本の表紙には『体と心の繋がりはスポーツから!〜SEXで激しく動いて彼と繋がろう〜』という、全くもって関係のないそれとなっていた。


「えっ、ちょっ、まさかっ……!!」

もしやと思った柊音が本とカバーとを外して分けてみると、


「………………」

「全くお前という奴は。いくら買うのが恥ずかしいからと言って、表紙カバーを別の本のと変えるだなんて…な。まぁ幸い、金額は表紙カバーの方のが中の本より高、」

「なんで俺がこうしたと思うの?!いやいやしてないよ!!違うわ!
多分高校生とかがイタズラでやったんだよ絶対!!お、俺じゃな……っ?!」


反論の途中であるのに、暗転する視界。

気が付けば目の前には意味深な笑みを浮かべた赤井の顔があって。


「恥ずかしがらなくていい。
SEXで激しく動いてーー


繋がろうか?」


「?!!」


にこやかに笑って柊音のデニムパンツに手をかける赤井。

ちょっ、待っ…!


「ま、待ってシュ…! んっ!」


抵抗しようと上げた手を掴まれ、唇を奪われた。


「はっ……んっ、 」


歯列をなぞり、絡めた柊音の舌を強く吸う赤井。

それにより抵抗の力が弱まった柊音のパンツを下ろし、脱がせたそれをベット下へと放った。


「…やんっ!」


けれども下着は取り払わず、膝で擦るようにして秘部に刺激を与えてくる赤井。


「ゃっ!……んっ、あっ…ふぁ……」


ビクビクと震える柊音のトップスにも手を入れ、慣れた手付きでブラのホックも外した赤井は優しく柊音の胸を揉みしだき、摘むようにしてその胸の飾りも刺激した。


「んんっ…ふっ、やっ…シュ、ウ」


下も胸も刺激され、更にはその間もずっと口付けられている事から柊音の目は潤み、口端からはどちらのものかわからない唾液が伝う。


「お前のその顔…堪らないな」

「ひゃうっ!!」


口付けを離されたかと思えば今度は胸元まで下がった赤井によって先端を口に含まれ、柊音は耐えるようにふるふると小刻みに震えた。


「最後までへばるなよ」

「な、に…」

「激しくして欲しいんだろう?」

「なっ…?! ち、ちがっ、!!」

「安心しろ。“まだ”優しくしてやる」


まだって何?!とばかりに柊音が目を見開くが、現在与えられている赤井からの刺激は優しく緩慢で、感じてしまう自分自身への恥ずかしさを除けば……正直言ってとても気持ちが良かった。


「シュ、ウ」

「ん? どうした」

「下……」

「下?」

「さ、わって…欲しい」


柊音が熱っぽい顔で膝で刺激を与えてくる赤井の足にと足を絡ませれば、赤井は仕方ないなとばかりに苦笑して右手を柊音の秘部へと伸ばした。

そして履いている柊音の下着を素早く取り払い、パンツと同じようにベット下へと放ると、


「あっ!!……あぁっ!!」


ゆっくりと埋め込まれる赤井の指。

たった一本だというのに柊音の中は赤井のその指を痛いくらいに締め付け、待ってましたとばかりに絡み付いてきた。


「そんなに欲しかったのか?」

「ひゃ、あっ…!! んんんっ!」


一本では足りないとばかりにヒクつく柊音の中に赤井が二本目の指も埋め込んで抜き差ししてやれば、柊音は切なげに体を震わせながら熱っぽく快感に喘ぐ。


クチュッ グヂュッ


「んっ! あっ…! ふっ…」


更には赤らめた顔のまま首にと腕を回してくるもんだから、赤井はあまりの愛おしさからその唇に再度口付けを落とし、柊音の感じるところのみに焦点を当てて指を動かしてやった。


「あっ…ぁっ!、んっ、っ…」

充分に濡れてきたそこに気付いた赤井は三本目の指も埋め込ませると、一回イかしとくかと優しい指使いから一転、柊音の細い腰を掴んで激しく出し入れした。


「ひっ?! ああぁッ!! やっ!シュっ、う! あっ!! っああッ!!」

「イけ」

「ッアアアアアァッ!!!」


一際高い声を上げて柊音の体が一回大きく跳ねたかと思うと、柊音の中に埋め込んだままの赤井の手に温かい液体がかかった。


「潮まで噴いて…随分と気持ち良かったみたいだな。…さて」

「……?」


イったばかりの柊音の顔を満足そうに眺めた赤井は、柊音が唯一身に纏うトップスも取り払って裸にさせた後、自身も同じく裸になって柊音の手を引き、体制を逆転させて自分の腹の上にと乗せた。


「シュ、ウ…?」

「激しく動いて俺と繋がりたいんだろう?」

「……っ?! だ、だからあの本は違ッ、……ぁんっ!!」


赤井は首を振る柊音の腰を掴むと、完勃ちする自身の上に跨らせるようにして腰を下ろさせた。


「……ッ!!」


けれどもイったばかりの柊音の中は容易く赤井のモノを飲み込み、本人の意思以外は抵抗なく収まってしまう。


「お前の好きなように動け」

「?!……で、出来ないよっ!そんな…こと」


普段は強気に物を言う柊音ではあるが、SEXとなると受身になる所は可愛らしい。

だが、そんな柊音の姿を見ても今回は動く気のない赤井。


「一回イっただけで満足したんなら、今日はこのまま寝るとするか?」

「…えっ?!」


柊音の腰を支えていた手を頭の後ろで組み、フッと笑ってそう問いかけてやれば泣きそうになって俯く柊音。

指でイくのと赤井のモノでいくのとでは満足度も、充足感も全く違う。柊音は身をもってそれを知っている。

その事から赤井のモノでイかせてもらえると思って期待していた柊音にとってーー

赤井のその言葉はあまりにも衝撃的だった。


「明日は朝からだから、8時前には起きないといけないな。寝坊するなよ」

「待っ、待ってよシュウ!!まさか、ほんとにこのまま…」

「俺は構わないが?」

「!」


布団を手繰り寄せる赤井に本気なのかと焦る柊音。

もちろんここで終わらせる気など赤井自身さらさらないが、柊音のこういった反応見たさについこうした意地悪をしてしまう自分は相当Sなんだとは思う。

もっとも、柊音以外でそんな気になった事はないし、愛しているからこそこうして虐めたくなってしまう訳なのも自覚済みではあるが。


「……っ、ぅ……」


暫く戸惑うように視線をさ迷わせていた柊音ではあったがーー

持て余す体の熱には勝てなかったようで、耐えるように目を瞑ったかと思うと赤井の腹の上に手をつき、必死に腰を動かし始めた。


「…フッ。お前は本当に可愛くて可愛くて仕方がないな」

「どこ、にっ。当てればいいのか……っ、分かんないよぉっ……シュウ」


高まる体の熱とイキたい気持ちでいっぱいなのだろう。

ボロボロと涙を零しながら必死に腰を動かして、けれども慣れない動きじゃイく事も叶わなくて唇を噛み締める柊音はたまらない。


「仕方ないな…それならお望み通りーー」


「やっ?! っあアッ!! ゃんっ!!あっ! あぁっ! ん!!」


赤井は再び柊音の腰を掴むと、今度こそ躊躇なく下から激しく突き上げて柊音を啼かせた。


「やっ、あっ!!シュウッ! シュウッ!!」

「…っ。 ここにいる」

「もっ……だめっ… ! イっちゃ、」

「イキたいときにイけ」

「ああアアアアアアァッーーーー!!!!!!」


ガンガンと柊音の体が大きく揺れるほど何度か突いてやった後。

柊音は掠れた声でひと啼きすると、かすかに痙攣を繰り返して赤井の胸板へと倒れ込んだ。


おまけ