たったひとこと言えば全て終わるのに。
携帯を持つ手が震える。
着信履歴にならぶきみの名前。
毎日毎日電話をくれていたね。
はじめのうちはその電話に毎日毎日応えていた。
いつからだろう。
きみの名前が画面に表示されるたびにつらくなった。
出なければきみが悲しむのは知っていても、仮にきみの電話に出たとして何を話せば良いかもわからない。
毎日の電話が1日おきになって
3日おきになって
1週間に1度になって
月に数回になって。
どんどん減っていった。
電話の内容だってどんどん薄くなった。
きみが少し話して相づちを打つ。
わたしが少し話して相づちを打つ。
その繰り返し。

窓の外を見たら雨が降っていた。
空が泣いてるみたいに。

きみの番号を押した。
久しぶりにきみに電話をかけた。

「もしもし?」
「久しぶり。あのね…」


きみにかけた最後の電話。
きみに告げる最後の言葉。

さよならのラストコール。




ラストコール

updated:)2014/08/05
reupdated:)2016/03/14
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