暖かい陽だまりのような笑顔。
一緒に笑っているとこっちまで温かい気持ちになるような素敵な笑顔。
何気ない会話さえ、自然に楽しくさせる。
そんなパワーを持つきみの笑顔。

知らない間にその笑顔に何度も釣られて笑い、
何度も救われて、
そして魅せられていた。

同じ時間を過ごして
たくさんの感情を共有して
いつも笑っていたぼくたち。
居心地が良くて、温かくて、柔らかい。
そんな付き合い方ができていた。

だから
もうずっと傍にいられると当然のように錯覚していた。
穏やかな毎日が途切れることなく続いていくと。

ぼくたちの居場所が壊れたのは
皮肉にもぼくたちが初めて出会った日。

理不尽なリストラ。

ぼくは受け入れられなかった。
どんな理由を宛がったところで納得はいかないし、怒りは収まらなかった。

タガが外れたように普段飲まないお酒をこれでもかという程に飲み、
行く店行く店で店の主人に愚痴を言う。
自分でも驚く程に酔い、殆ど記憶にない。

あとから店主に聞いた話だが、心配して駆け付けてくれたきみに、
ぼくは随分酷いことを言ってしまったらしい。
泣かせてしまったらしい。泣きだしたきみに容赦なく暴言を履き続けてしまったらしい。

その日から、きみからの連絡は来なくなって
きみに連絡がつくこともなくなった。

ぼくが唯一覚えているのは
最後に見たきみの綺麗な涙だけ。
暖かい陽だまりのような笑顔のきみが滅多に見せない、綺麗な涙だけ。




パールの涙

title:)コペンハーゲンの庭で
updated:)2016/08/20
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