むかしむかし、ある国におしゃれが大好きな王様がおりました。
特にドクロを象ったものや、キラキラのラメやスパンコールがふんだんに使われたものがお好みで、王様はいつも目にも心にもイタイ衣装を身に纏っておりました。王様は、俺に似合う服とは俺を最も輝かせる服だ!!と言って憚りません。臣下の者がなにを言おうと、王様はそのスタンスを一切揺るがしませんでした。
どうやら、本日は先日手に入れたばかりの黒のライダースをお召しになり、大変ご機嫌な様子です。
「国王様、城に仕立て屋を名乗る者が来ております。怪しい者なのでつき帰そうと思いますが」
「仕立て屋?それはいいな、是非会いたい!すぐ俺のところに通せ」
機嫌のよい王様は、臣下の警告も聞かず、城に訪ねて来た怪しい仕立て屋を謁見の間に通してしまいました。臣下に通されやってきたのは、四人の男。皆、同じ顔をしています。
「どーも、おこんばんは!いやぁ、こんなでかい城でニートとかマジ羨ましいっすねぇ!」
「ちょっとおそ松兄さん、王様の前なんだからもうちょっと謙りなよ!振りでもいいから!」
「いや、振りも駄目だよ!!お前らふざけてんの!?首刎ねるよ!?」
「まぁ落ち着けチョロ松、とりあえず話を聞こうじゃないか」
赤と桃色のチョッキを着た二人に、臣下のチョロ松が食って掛かりますが、心の広い王様はそれを止めました。目の前に跪く四人の仕立て屋の前で、王座に座った王様は仕立てについての話を聞くことにしました。王様の横に立っていた臣下は、どうにもこの仕立て屋たちを信じられず、先程から眉間に皺を寄せています。
「それでお前たち、なんの用だ?国王陛下は暇じゃないんだ」
「へー、随分暇そうに見えんね」
「一松兄さん!ちょっと黙ってて!!」
「おうさまー!やきうする!?楽しいよ!やきう!!」
「お前らもう帰れよ!!!」
「あーいやまぁまぁ、落ち着いて」
「お前宥められる立場じゃねぇから!!」
「いや、俺ら今日はさ、陛下に是非見せたい織物を持ってきたんですよ」
「ほう、織物か」
「はい、陛下は方々の国から珍しい織物を集められたり、お召し物も大好きだとお聞きいたしまして。それならば、ボクたちの織る織物も気に入っていただけるかと」
「っふ、そうか…俺という太陽はやはりどこに居ても輝いてしまうんだな。まるで宇宙の真理のように、俺というガイアが良質なヴェールを引き寄せてしまう…、正にギルトガイ・オブジ・キング!!」
「なに言ってんの…こいつ」
「意味ワカンナーイ!」
「うわぁ…ぞわってした…」
「え、王様って病気かなにか?」
「いえ、これが平常運行ですので、気にしないでください」
「まぁいいや、気持ち悪いし関わりたくない。十四松」
「あいあい!」
紫のチョッキの男が呼びかけると、黄色いチョッキを着た男がどこからともなくアタッシュケースを取り出しました。男がアタッシュケースを開けると、紫と桃色のチョッキの男二人が、中からなにかを引きずり出し、王様の前に差し出しました。それは、仕立て屋たち自慢の織物でした。
「さぁ、陛下、これがボクら自慢の織物です」
「え、いや織物って、明らかになにも」
「これは、特殊な糸で織った織物です」
反論しようとした臣下に対して、食い気味に紫のチョッキを着た男が言いました。曰く、その大変綺麗な織物は馬鹿や愚か者には見えないという特殊な糸で織られているそうなのです。これを聞いた王様は、それは面白いと思いました。
「では、その織物で俺に見合う最高の衣装を作ってくれ!」
「えっ!?ちょ、国王!?」
「かしこまりました!ですが、この織物は大変高価なので、衣装を作るにはかなりお金が必要になります」
「ああ、分かった。チョロ松、この仕立て屋たちが必要なものはなんでも揃えてやれ」
「はあ!?国王!考え直してください!」
臣下がいくら言おうと、王様はもう既に新しい衣装のことで頭がいっぱいで、臣下の声など耳に届いていないようでした。それから、城の一室を与えられた仕立て屋たちは早速作業に取り掛かり始めます。
臣下は王様の言うことを聞くほかないので、仕立て屋たちに部屋を与え必要なものはなんでも揃えてあげましたが、やはり納得はいきません。無駄と分かっていながらも、臣下はそっと王様に耳打ちします。
「国王様、あの者たちの織物が見えたので?」
「ん?いや、見えなかった」
「はああ!?じゃあなんで衣装作らせてんの?!」
「俺が見えなくとも、うちの臣下たちや村の者が見えればいいだろ?」
「…は?」
「俺が馬鹿でも愚か者でもいいんだ。それでも皆が俺の新しい衣装を褒めてくれれば、俺の治める国は賢い者たちばかりってことになるだろ?それが分かるだけでも価値がある。もしそうなら、俺はなんて幸せな王なのだろうな」
邪気のない顔でそう言い切った王様に、臣下はなにも言えなくなってしまいました。王様のおつむがアレなことは城では周知のことでしたが、王様が他人を疑わないということもまた多くの臣下が知っていました。王様の期待を裏切らないためにも、臣下たちはその仕立て屋たちの織物が見えないとは言えなくなってしまったのです。
それから数日の間、王様に報告するため何人もの臣下が仕立て屋の作業を確認しに行きました。臣下は皆、口を揃えて「あの仕立て屋の織物は、大変綺麗な織物です」と褒めましたが、本当は誰一人として仕立て屋の織物が見える者はおりませんでした。試しに村の子供を城に招き、仕立て屋の作業を見せたところ、村の子供は首を傾げて「なんも見えないジョー?なにを作ってるんダジョ?」と言いました。その後、その子供を見た者はいませんでした。
「…で、俺が直々に様子を見に来たわけだが」
仕立て屋の作業部屋にやって来たのは、王様の一番の臣下であるチョロ松です。
「おい、てめぇらなにしてやがる」
部屋に入ってすぐ、チョロ松が目にしたのは、ペルシャ絨毯に寝そべって漫画を読んでいる赤いチョッキの男、その奥でひたすらバットを振るっている黄色いユニフォームの男、機織りをする紫のチョッキの男、なにかを裁断したり縫い合わせたりしているらしい桃色のチョッキの男でした。
「いや、紫とピンクはいいよ。だが、赤と黄色のてめぇらなにしてやがる…!!」
ダンッと床に足を踏み下ろしたチョロ松にも、赤と黄色の男は一切動じません。
「なに?なにってー?やきうだよ!やきう!一緒にする!?やきうする!?」
「いや、やらねぇし!仕事しろよ!?」
「えー?だって俺らやることねーし。てか、すげぇだるい」
「なんで生きてんだお前!!」
寝そべって漫画を読んでいた赤いチョッキの男が、溜め息ひとつでやれやれと起き上がりました。チョロ松の米神で血管が何本か切れましたが、男はそれを気にしたふうもありません。
「つーか、俺ら馬鹿だから織物とか見えないんだよね」
「帰れぇええッ!!」
「まぁまぁ」
「まぁまぁ、っじゃねェよ!!帰れよ!?この穀潰しがッ!!マジで首刎ねんぞ!?」
「えー、それは困るー」
「こまっ、困るとかじゃ、ねェエエエエっからァア!!!」
「よく叫ぶな、こいつ。欲求不満?」
「すっげーうるさいね!」
「あー殺したい、こいつら殺したい自らの手で殺したい」
片手を顔にあてて項垂れるチョロ松の肩を、赤いチョッキの男が優しく叩きました。
「ドンマイ!」
「死ね…ッ!!」
チョロ松が赤いチョッキの男の首を絞めていると、作業をしていた紫と桃色のチョッキの男が手を止めました。
「陛下のお召し物はもうすぐ出来上がりますよ」
「こっちの作業は終わったから…あとはそこのトルソーに着せていって整えるだけ…」
「いかがです?メンノンやショップからの知識を集結させ、トレンドを網羅し尽したデザインの、この衣装!」
桃色のチョッキの男が、自信満々になにやらかを見せてきましたが、やはりチョロ松にはなにも見えません。チョロ松は迷いました。ここで「綺麗な衣装だ」と褒めるのは簡単です。ですが、それはチョロ松の本心ではありません。王様のために嘘をつくべきか、それとも、見えないとはっきり告白し自分が愚か者だと公言するか。それに、チョロ松は彼らが詐欺師だという疑念も捨てきれていませんでした。
「…なぁ、お前らもしかして国王陛下を騙そうってんじゃないよな?」
「そんな、まさか!」
「心外だね…」
「ノットフィックショーン!!」
「ボクらの作る衣装はきちんと他国の王様にも評価を受けているんですよ?」
「え、どこの王様だよ」
「パンツキングダムのデカパン大王ですよ」
「あいつもとからパンツ一枚じゃねぇか…ッ!!」
「あ、もしかして臣下さんにもあの衣装見えないの?」
赤いチョッキの男に言われ、チョロ松は大層ムッとしました。
「ぼくはこの仕事に就くためにきちんとした教養を身につけているし、国王陛下のために身を削って働いている。馬鹿でも愚か者でもない!」
「あ、そうなんだー。でもさ、言い忘れてたけどこれ実は、成人過ぎた童貞にも見えないんだよね」
「いやぁ本当とても綺麗な織物だ!衣装もサイコー!」
チョロ松は嘘をついてしまいました。
王様は、臣下たちから口々にあの仕立て屋の作る衣装は素晴らしい出来だと報告を受けました。王様はその素晴らしい衣装が出来上がるのが待ち遠しくて仕方ありません。そして王様は是非ともその衣装のお披露目パレードがしたいと思いました。村の人々にもその素晴らしい衣装を見てもらいたかったのです。早速臣下たちを呼び出して、お披露目パレードの準備を進めさせました。
そしてそれから三日と経たず、四人の仕立て屋から衣装が出来たと連絡が入ったのです。王様は大層喜んで、その日のうちにお披露目パレードをすることとなりました。
仕立て屋の部屋に来た王様は、白のブリーフ一枚で鏡の前に立ちます。その王様の周りを取り囲み、仕立て屋たちは忙しく王様に衣装を着せていきます。
「ちょっと待て、お前ら二人見えないって言ってなかった!?」
そばに控えていたチョロ松が声を荒げると、忙しく王様に衣装を着せていた赤と黄色のチョッキの男が振り返りました。
「いやぁ、俺たち馬鹿だからじゃなくて童貞だから見えなかったみたい」
「……っえ!?じゃ、え!?この数日で、えっ!?」
てへぺろと笑って、拳に親指を差したサインを見せてくる赤と黄色のチョッキの男に、チョロ松は様々な憤りを隠せません。
「どうです陛下、この織物は大変軽くて、まるで着ていないようにも感じるでしょう?これを着こなせるのは陛下くらいだと思いますよ」
「大変お似合いですよ。…今までのクッソダッセェ格好より百万倍はマシ」
「おうさまかっこいい!!」
「っよ!大将!」
仕立て屋たちに褒められて、王様はちっとも見えない衣装を鏡の前で存分に確認し、満足げに頷きました。
「では、この新しい衣装をお披露目するパレードに向かうぞ!」
「陛下、その前に報酬をいただいてもよろしいでしょうか?」
「それもそうか。おいチョロ松、この者たちに望むものを与えてやれ。素晴らしい衣装の礼だ!」
仕立て屋たちは大変珍しく素晴らしい織物で作った衣装の対価に、大金を要求し、チョロ松は渋々ながらそれを用意させました。仕立て屋に報酬を与えたあと、城の者の多くは王様の新しい衣装のお披露目パレードに参加します。準備が整い、王様を乗せた輿が城から出発しました。周りには兵士や様々な動物、薔薇の花を持った女たちなどパレードの行列は大変きらびやかなものでした。
村に着くと、それまで色々な噂を聞いていた村人たちが王様のパレードを迎え入れます。予め、馬鹿や愚か者、成人を過ぎた童貞には見えない衣装だと聞かされていた村人たちは、白ブリーフ一枚でにこやかに手を振る王様を口々に褒めちぎりました。
「やはり、我が国の民は皆賢く優秀なのだな」
王様は嬉しそうに言います。そばに仕えていたチョロ松は複雑な表情でそれを肯定しました。
ところが、そのパレード行列を遠くから眺めていた村の女は、王様の姿を見て驚きです。なにせ白のブリーフ一枚で堂々と民衆に向かって手を振っているわけですから、ついに頭がおかしくなったのかとも思いました。
「ねぇ、トト子、国王様のあの服…」
「あら、なまえ聞いてないの?あれは馬鹿や愚か者、それからクソ童貞クズニートには見えない糸で織られた衣装なんですって」
「あ、そうなんだ…」
このなまえという村の女は、最近働き詰めで王様のパレードのことすら初耳だったのです。衣装のことなどもまったく知りませんでした。
「じゃあ、私は馬鹿か愚か者なんだね。だって国王様がブリーフ一枚で堂々としてるようにしか見えないし」
「安心して、私も見えないから」
「え、トト子も?」
「ていうか、トト子そういうの全然興味ないの。国王がなに着てようとまったく興味ない。お金だけばら撒けってんだ…クソ童貞クズニートが」
王様を見つめて、忌々しそうに歯噛みする友人に、なまえはもう声を掛けることはしませんでした。そういえば最近、こういうとき一番に囃し立てる友人四人の姿を見掛けていないことになまえは首を傾げます。あの四人にもきっと王様の服は見えないのだろうな、となまえは思いました。
「あ!なまえー!トト子ちゃーん!」
「こんなところに居た!」
「スライディーンッグ!!」
「なにも言わずぼくらと逃げよう」
噂をすれば、突然現れた四人の友人たちになまえは目をぱちくりと瞬かせます。
「おそ松、トド松、十四松、一松、なになにどうしたの?」
「なんで私たちがアンタらみたいなクソ童貞最底辺クズニートと逃げなきゃいけないのよ」
「へっへーん、俺ら金が出来たんだー!だから、この国から逃げて別の国に行こうよ、一緒に!」
鼻の下をこすって得意げな顔をするおそ松に、なまえは益々意味が分かりません。彼らはトト子の言うように、如何に貧困に喘ごうとも一切働こうとしないクズニートたちなのです。その彼らにお金が出来たなどと、信じられるわけもありませんでした。
「ちょっと待ってよ、この国は税も高くないし…真面目に働けば生活するに全然困らないじゃない。それを、どうして国を出ようなんて」
「ぼくら、おうさまからいーっぱいお金もらったから!だから他の国に行こう!」
「ここで話すにはちょっと場所が悪いから、逃げた先で話すよ!さぁ行こう!」
「えー…、でも私、この国が気に入ってるし…」
「あんまりわがまま言うと、犯してでも連れてくよ…?」
「一松怖い!!それにわがままを言っているのは果たして私なのだろうか!?」
「トト子もイヤー、将来性のないアンタらと一緒に行くより、石油王でも捕まえて結婚したほうがずっとマシだもん」
頑として一緒に来ようとしない二人に、四人は仕方なく事の顛末を話すことにしました。それを聞いたトト子は報酬額次第だと手を合わせましたが、なまえは眉根を下げて王様のパレードを振り返りました。
「なまえ?どうしたの?」
「…みんな、国王様に嘘ついてるってことだよね」
「まぁ、みんな自分が一番可愛いからね。そりゃ本当に見えないものだったとしても、王様を辱めることは言えないでしょ」
「いやぁ、こんなに上手くいくとも思ってなかったけどね!にっしっし」
「あのクソ王が本当に頭カラッポでよかったよ」
「あー!ぼく結局おうさまとやきうしてなーい!!」
五人はもうこの国から逃げるつもりでしたが、もう一人どうしても一緒に連れて行きたいなまえが足を動かそうとしません。パレードをじっと見つめていたなまえは、決心したように頷くとすぐさま自分の家へと走りだしました。
逃げるのに必要なものを取りに行ったのだなと思った五人でしたが、なまえはすぐに家から飛び出てきます。その手には、なまえの家にある中では一番上等な手織りの大きな布が握られていました。それを掴んだまま、なまえは王様のパレードのほうへと一目散に向かって行きました。
「え、ちょ!なまえ!?」
「なまえちゃん、なにする気!?」
「なまえちゃーん!!待ってー!!」
「あいつ、まさかおれらのことあのクソ王に言うつもりじゃ…!!」
「トト子関係ないから、お金だけ置いて行って」
走り去るなまえのあとを四人は必死に追い掛けます。真面目で誠実ななまえのことですから、王様に自分たちの詐欺の話を報告してしまうかもしれません。それは堪らない。そうなれば、自分たちは勿論、なまえの首まで刎ねられるかもしれないのです。
パレードを囲む人垣を掻き分け、なまえは王様の輿の前へと文字通り転げ出ました。即座にパレード行列は止まり、兵士が剣や槍を転げ出たなまえに向けます。それを遠目に見止めた四人は、全身にぶわっと冷や汗を掻きました。
「武器を下ろせ。レディにそんな物騒なものを向けるもんじゃない」
兵士の動きを止めたのは、他でもない王様です。輿を担いでいた者に目配せし、地面に下ろされた輿から王様は立ち上がりました。そばにはチョロ松が控えます。
「すまなかったな、立場上あいつらは俺を守るように言われてるんだ。立てるか?」
王様に手を差し出されて、なまえは恐る恐るその手を取り立ち上がりました。
「申し訳ございません、ありがとうございます」
「いや、礼を言われることじゃない」
なまえは間近で王様を初めて見ましたが、見れば見るほど、王様はやっぱり裸でした。その事実に恥ずかしくなったなまえは頬を赤く染めながら、王様の目をじっと見上げました。
「国王陛下、出過ぎたことと承知のうえでご提案があるのですが、」
「ん?なんだ?」
すぐそばまで来ていた四人は、どうやってなまえをこの場から攫って逃げようかという相談を始めています。そんな相談など知る由もないなまえは、手に持っていた大きな手織りの布をバサリと広げ、王様の体に掛けました。左肩に布を掛け、お腹の前で合わせた布を結んだところで、なまえはもう一度王様を見上げます。
「大変素敵なお召し物ですが、この布一枚で更に素晴らしい仕上がりになると思い、国王陛下にこちらの布を是非差し上げたく出て参りました」
先程まで白ブリーフ一枚だった王様が、布を一枚纏ったことで、臣下も村人たちもなぜかほっと胸を撫で下ろしたのでした。誰もが見えないものを見えると言うことに罪悪感を抱いていましたし、王様の裸を見るのも耐えられなかったのです。事の成り行きを見守っていたチョロ松は、そっと王様となまえに近づき、にこやかに言いました。
「国王様、その娘の言うとおり、国王様の新しい衣装が更に素晴らしくなられましたよ」
チョロ松の言葉を発端に、他の臣下たちや村人たちも挙って今の王様の衣装が素晴らしいと褒めそやします。それを聞いた王様は大層喜び、目の前に立つなまえの手を取ると、戸惑う彼女の手を引いて一緒に輿へと乗り上げました。
「是非君を城に招待したい」
「い、いいえいいえ!私はそんなつもりじゃっ」
「パレードは中止だ、城に戻るぞ!」
王様のお披露目パレードは踵を返して城へとUターンして行きます。それを見たおそ松たち四人は愕然としました。
「…なまえちゃんが…」
「王様に攫われた…」
「なまえちゃんが、おうさまにつれてかれちゃった…」
「……嘘だろ」
「えっ!なまえが、本物の玉の輿に乗っちゃった…」
いつの間にか居たトト子も、城に帰っていくパレードを呆然と見送ります。
「カラ松ガール、君の名は?」
「カ、カラ?えっと、なまえといいます…」
「そうか、ではなまえ、」
「はい…?」
「城に戻ったら、すぐにお前を俺の后として迎えたい。いいだろう?」
「……はい!?」
「っふ、心配するな。俺はお前のどんな願いも叶えてやれるぞ」
「いや、そんな心配は一切してないんですが…、え、でも、なぜ私を…?」
「君が、この国で一番賢いからさ」
王様はにっこりと笑いました。
白ブリーフの王様
(2016.08.28)