脱衣所を出ると、居間ではカラ松くんが座布団の前で正座をして待っていた。どういう状況?と思いながら卓袱台を見ると、用意されていた救急箱に、申し訳なさが更に募る。

「ここ、座ってくれないか」
「えっ、ああいや、自分で出来ますので…」
「いいから」

笑みを浮かべたカラ松くんは有無を言わせぬ雰囲気で、彼の前の座布団をぽんぽん叩く。渋々、私は従うことにした。

「わひっ」
「すまない、痛かったか?」
「…いえ」

座ると同時に、足を持たれてジャージの裾を膝上まで一気に上げられたのだ。そりゃ変な声も出る。この子は、気配りがあるのかないのか。デリカシーは無さそうだ。
傷の手当てを受けて、絆創膏を貼られる間、私はぼんやりと彼の手を眺めていた。男らしくゴツさがあって、でも指は長くて綺麗な手だ。肌もどちらかといえば白いほうかもしれない。いいな、すべすべのお肌。家に帰ったら、着替えてとりあえず化粧水だけでも買いに行こう。服は、また後日でもいいか。

「よし、痛くないか?」
「…うん、ありがとうございます」
「いや、困ったときはお互い様と言うだろう?だから、気にしないでくれ」

朗らかに微笑むカラ松くんを見上げて、一時惚ける。

「…ごめんね、こんなおばさんの面倒見せてしまって。このお礼は」
「えっ!?おばさん、なのか…?」

引っかかるのはそこなのか。

「カラ松くんっていくつ?」

聞けば彼はまだ二十もそこそこの年齢で、分かってはいたけど小学校分ほどの年齢差に苦笑いが漏れる。

「じゃあやっぱり、おばさんだよ私は」
「えっと、そうだ、名前を聞いてなかった…です」
「ぶっ、む、無理して敬語に戻さなくていいよ。私はみょうじなまえです、言うの遅れてごめんね」
「なまえさん…、その、女性にこんなことを聞くのは失礼だと知っているのだが、なまえさんは、いくつなんですか…?」
「先週遂に三十路になりました」
「っあ、なんだ、全然おばさんじゃないじゃないか…びっくりしたぁ」

心底ほっとしたように相好を崩して笑うカラ松くん。いったい私はいくつに見えていたのだろう。

「おばさんなんて言うから、本当は五十代とかなのかと」
「ぶぶっ、っえ、うそ、そんなに老けて見える!?」
「いや違う!その逆だ!同い年くらいかと思っていたから、それに三十歳なんてまだ若いじゃないか」
「年下の君に若いと言われてもなぁ」
「なまえさんは気にしすぎだと思うぞ。オレの意見で悪いが、なまえさんは綺麗だし若い」
「きれ…」

そんな褒め言葉、いったいいつから聞いていないのだろう。感極まって泣きそうになるのを唇を噛んで我慢する。彼は、人を甘やかすのが上手い人だ。

「…あ、じゃあ、私、そろそろ帰りますね、ご迷惑をお掛けしまして…」
「ああ、ちょっと待ってくれ送って行く」
「ええっ!いいよそんな!さすがに一人で帰れるし、タクシー呼ぶし!」
「オレが心配なんだ。駄目だろうか?」

そんな、捨てられた子犬みたいな顔をするなんて、年下ってずるいなぁ。
でも、甘えてばかりもいられない。

「大丈夫だよ、家まで来られても迷惑だし…」
「っあ…、そ、そうか…」

ちょっと言い方がひどかったかな。しゅんとしてしまったカラ松くんには悪いけれど、この御恩は後日しっかり返すので許してほしい。
カラ松くんは信用出来そうではあるけど、初対面の他人を家に呼ぶのは抵抗がある。のこのこ家に着いてきておいてなに言ってんだって話だけど。
あんまり外に出ていられる格好じゃないのでタクシー会社に連絡して、来てもらうことにした。少し待たせてもらっている間に、一松くんが二階から降りてきて私の格好をまじまじ眺めたあとに出掛けていった。なんだろう、視線だけで辱められた気分なのだけど。

「なまえさん、タクシーが来たみたいだ」

外で確認してくれていたカラ松くんが玄関から顔を出す。

「ん?どうしたんだ?」
「あ、いや…なんでもない。多分気のせい」
「?」

君の弟くんの視線が気になったなんて、自意識過剰すぎて言えるわけない。
立ち上がった私の前に出されたのは、青のスリッポン。カラ松くんを見ると、首を傾げたあとにハッとした顔をした。

「あっ、み、水虫とかは無いぞ!嘘だと思うなら見せるが…っ」
「ああいや、えっと、貸してくれるってこと?いいの?」
「勿論だ!なまえさんの靴はヒールが折れてただろ?あれじゃ歩けないだろうし」
「…ありがとう」

真っ青なスリッポンに足を通すと、大きすぎて笑ってしまった。歩きにくい。でも、嬉しかった。

濡れた服とヒールの折れた靴を渡されたビニール袋に詰め込んで、玄関を出た。散々な休日だと思ったけれど、振り返ってみれば新鮮で楽しいひと時だったようにも思う。カラ松くんのように優しい人に出会えたのは、生きてきた中でもランキング上位に入るほどのラッキーだったと思うし。うん、まぁそう悪くない休日だった。

「じゃあ、私はこれで…」
「あれ?みょうじさん?」

せめてタクシーまでは送ると言ってくれたカラ松くんと一緒に敷地から出て、目の前に停まっているタクシーへと向かう途中、突然呼び止められて
ぶわり
全身の毛が立ち上がって、背筋が冷えた。カラ松くんも私の変化に気づいたようで、顔を覗き込まれる。

「みょうじさん、ですよね?こんなところで、…ええと?」
「…ど、どうもー…お久しぶりです」
「あーっ!やっぱりみょうじさんですよね!どうもご無沙汰です!」

引き攣る笑みで振り返ると、パッと華やいだ笑顔で近づいて来たのは、同じ会社の営業部に居る男の子だ。仕事上と全体の飲み会で何度か話した程度の間柄なのだけど、外回り中らしいことはなんとなく分かった。
しかし、こんな姿の女性に対して無闇に話し掛けるなんてこの子はバカなのかな?営業職だろ、もっと人の気持ちを考えて!気遣って!私の羞恥心のこととかちゃんと考えて!

「珍しいですねー、平日のこの時間に外出てるなんて!」
「あ、いやぁ、今日は休日で…」
「へぇ、そうなんですかぁ」

じろじろと、私の姿を品定めするような視線が痛い。休日にこんな格好で外に出てることを呆れられているようでもあるし、若い男の子と一緒に居て、男物のジャージや靴を身につけていることを冷やかされているようでもある。どうせ、いい歳してなにしてんだとか思われているに違いない。私だってそう思うけど、でも、そんな不躾な視線をもらう謂れは無いとも思う。はっきり言って、大きなお世話だ。

「これからどこかお出掛けですか?」
「はは、いや、これから帰るところで…」

お出掛け、なんてそんなふうに見えるわけないのに。
悔しいな、悔しい。こんな若い子にさえ馬鹿にされる自分が情けなくて、本当に悔しい。
考えると泣きそうになって奥歯を噛む。それでも笑顔を保っていた私は、大人の鑑だと思う。少しくらい褒められたって良いのに。

「そうなんですね、いやぁ本当凄い偶然です。俺はまだ外回りの途中なんですけど」

まさかこのまま世間話を始めるとも思っていなくて、笑みが引き攣る。いやいやいや、常識的に!この状況で会話を長引かせようとする意図が分からないよ!
モヤモヤした気持ちを歯噛みしながら耐えていたら、突然体が宙に浮いた。

「……っえ!?カラ松くん?!」
「なまえさん、早くしないとタクシーのメーターが上がってしまう」

またもやお姫様抱っこなんて抱き上げられ方をされて、私は軽いパニックに陥っていた。知り合いの前で恥の上塗りをされている気分で、恥ずかしさの沸点が超えてしまいそうだ。

「じゃあ、オレたちはこれから帰るので。すみませんが、失礼します」
「…あっ、そう、そうですか。こちらこそ、足留めしちゃってすみませんね」
「いいえ、それじゃ」

なんだか刺々しい雰囲気のカラ松くんが、変わらぬ笑みを浮かべたまま営業部の彼に背を向けた。混乱が落ち着かないままの私を抱き上げた状態で、タクシーに乗り込んだカラ松くんは、運転手さんに言ってとりあえず車を出してもらった。車窓から、道に立ち尽くしたままの彼を振り返る。こちらを見る彼によって、いったい私の評判はどうなることだろうか。会社であらぬ噂がたつことは必至だろう。…憂鬱だなぁ

「…すまない」
「え?ああ、ううん、ありがとう。話し掛けられて困ってたから…」
「…良かった。余計なことをしたかと…あっ、オレはタクシーを降りるから安心してくれ!これは、その、口実みたいなもので」
「いいよ、…お世話になりっぱなしだし、カラ松くんさえ良ければうちおいで?大したお構いは出来ないけど…」
「い、いいのか!?」

予想もしなかった嬉しそうな反応に、一瞬止まって、それから笑ってしまった。笑う私にカラ松くんは疑問符を飛ばしていたけれど、なんだかそれも可愛らしい。

タクシーを自宅まで走らせて、カラ松くんを部屋へと案内する。
そわそわする彼にソファーを勧めて、お茶を用意したあと、私は着替えるために一度ベッドルームへと引っ込んだ。
お洒落しようと下手に考えなければ、クローゼットの中にはジーンズとTシャツくらいはあるということに今更ながら気がついて愕然とする。なんで、これに気がつかなかったのか。
素直にそれらを着用すると、外に出掛けるのに年齢的にも問題無い格好だった。なんで、これに気がつかなかったのか。(二回目)

自分のアホさ加減に落ち込みながら部屋を出ると、カラ松くんが赤い顔で視線を彷徨わせていて、私は首を傾げる。具合でも悪いのだろうか。

「どうしたの?」
「えっ!!あっ、いやっ、なんでも!ない、です」
「汗掻いてるみたいだけど…大丈夫?あっ、もしかして紅茶にアレルギーとかあったかな!?」
「い、いや!!そんなんじゃなくて!!」
「なくて?」

話してる間もどんどん赤くなるカラ松くんに、私の心配もどんどん募る。熱を計ろうかと、カラ松くんの隣に座ると、びっくりするほど飛び跳ねて驚かれた。

「え、カラ松くん?」
「…っそ、の、……が、して…」
「ん?」
「っ良い匂いが、して…、部屋中から」
「は」
「ななななななんか、凄くっ、恥ずかしくなってしまったんだ!はは!す、すまない、なんか動揺してしまって…っ」

恥ずかしいと快活に笑うカラ松くんに、今度は私が赤くなった。こんな初々しい反応、見たことないかも。

「カラ松くんて、不思議な子だね」
「えっ?」
「男らしくて優しいと思ったら、初々しくて可愛いし」
「えっ、おっ、かわっ」
「あっ、ごめん電話…」

慌てるカラ松くんを眺めていたいとも思ったけれど、着信を告げる携帯を見ると会社からのもので、さすがに無視は出来ない。
出てみると、それは部下から私の無断欠勤について問われる電話だった。…え?無断欠勤?
焦った私は無断欠勤ではないことを説明したあと、一度電話を切って上司へと連絡、今日の代休について私の部下に話を通してないのか聞くと、それは私が連絡すべきことだと言われて目眩がした。
電話を切って、もう一度部下に連絡を取る。上司命令で代休を取っていたこと、連絡しなくて悪かったことを告げて、他の人たちへの連絡も頼んだ。物分かりの良い子で、「それは大変でしたね」なんて笑ってくれたけれど、メールひとつも入れなかった私のミスであるのは明らかだ。代休なんて初めてで、対処が疎かだった、なんていうのも理由にはならない。

電話を切ったあと、私は唇を噛んで、ぐっと堪えた。それは涙であったり悔しさや不甲斐なさであったり色々だ。
その時、そっと頭を撫でられ、驚いてその手を振り払ってしまった。

「あ…、すまない…」
「…あ、ご、ごめん…つい驚いて…」

居たたまれなくなって視線を落とす。頭なんか撫でられたら、本当に泣いてしまいそうで怖い。
明日、出勤するのがひどく憂鬱だ。貧乏くじを引かされたような、そんな気分。勿論、自分の失態を受け止めなきゃいけないのは理解している。それは、そうなんだけど…。考えれば考えるほどひどい休日だったような気がして、つらくなってきた。

「なまえさんは、なんでそう泣くのを我慢するんだ?」
「…え、?」
「今日だけで、何度その顔を見たか分からない…」
「えっと、ごめん…よく分からないんだけど…」
「泣きたいなら、泣いていい」

その言葉に、私はなにも言えなくなった。そんな簡単に、当然のことのように言われるなんて。

「…そんな、わけないじゃない」
「え?」
「大人は、そう簡単に泣けないのよ」
「なぜだ?」
「なぜって、そりゃ、責任もあるし」
「泣いてはいけない責任?」
「いや、仕事とか、年齢とか、そういう…周りに示しがつかないっていう責任みたいなものがあって」
「それは誰に対してのものなんだ?」
「誰って、なんていうか、自分を律するためみたいな…」
「なまえさんは、それで苦しくないのか?泣くことを我慢して、なまえさんは嬉しいのか?」
「そんな、こと」
「オレは、苦しい」
「え、なんで」

その問いが、カラ松くんの胸に吸い込まれていった。
力強く抱き込まれながら、私の頭はぐるぐると色々なことを考えようとするのに、その全てが空回って空白ばかりが渦巻き、なにも答えは出なかった。

「カラ、まつくん…?」
「オレは、なまえさんが泣きたいのに泣けないなんて、嫌だ」

つらそうな、苦しそうな声。どうしてカラ松くんがそんな声を出すのか、私には分からなかった。だって、会って数時間と経たない初対面のおばさん相手に、どうしてこんなに親身になれる?まるで自分のことのように悲しめる?分からない、なんでこんなに優しいんだろう。

「痛いなら泣けばいい、苦しいなら泣けばいい、つらければ泣いて良いんだ。誰も、なまえさんを責めたりしない」

きっと、あの上司や、私をよく思わないあの部下は私を責めるだろう。私が泣けば、彼らは笑うに違いない。

優しく頭を撫でられ、ぐっと更に強く抱き込まれる。この苦しさは、抱き込まれているせいだろうか。それとも、今まで散々欺き続けた私の心が悲鳴をあげ始めているのだろうか。

「カラ松くん…、あの、」
「なまえさん」

両肩に手を添えられて、密着していた体が離れる。赤いかと予想していたカラ松くんの顔は凛々しく引き締まっていて、どきりとした。

「あなたが、好きだ」

途端、息を呑む。

「…まさか、そんな、今日会ったばかりなのに」
「愛に時間は関係無い。オレは一目見たその時から、あなたを好きになっていたんだ」
「……カラ松くんは、若いからそんなこと言えるんだよ…」
「年下だと言いたいなら、確かにそれは埋められない。だが、そんなこと関係無いだろう」
「いやいやいや、若さは偉大だよ、私にはもうそれが無いし、だから、」
「なまえさんは、年齢とか責任を考えすぎだ!」
「そんな、こと、」

そんなこと言われても、事実私にはそれらが重くのしかかっているのだから、仕方ないじゃないか。

「なまえさん」
「なに、」
「オレを頼ってはくれないか?」
「…え?」
「今日出会って、オレはあなたの支えになりたいと強く思った。あなたが必死に一人で立とうとする姿は美しい、だが、同時に寂しくて悲しくなった。頼られたいんだ。あなたが泣きたいときは抱き締めたくなるし、困っていたなら助けたくなる」

頬を撫でられながら、私はカラ松くんの真剣な眼差しから目が離せなくなっていた。

「あなたを愛したい。あなたに愛してほしい」

こんなに真っ直ぐな言葉、かつて言われたことがあっただろうか。
カラ松くんの真っ直ぐな瞳に射抜かれていると、ついなにも考えず頷きそうになってしまう。

「例えなまえさんが四十歳でも五十歳でもオレの気持ちは変わらない。オレがなにも知らないと言うなら教えてくれ、あなたが苦しいと思うならその全部を受け止めたい」

なんか、怖いなぁ。この真っ直ぐさが凄く怖い。簡単に引き込まれてしまう。泣きそうに、なってしまう。

俯いた私を、カラ松くんは優しく抱き寄せて、頭や背中を優しい手つきで撫で続けた。甘やかされている、兄のような包容力で、男らしく力強く、私に考える時間を与えない。

すると、ぽろり、ぽろり
弱音が溢れるように、無自覚に、つい出てしまったように、あふれて止まらない。
気がつくと、私は幼子さながらに嗚咽を漏らしながら、目の前の逞しさに縋りついて泣きじゃくっていた。それでも、カラ松くんは私を離さず、変わらず優しくあやし続けてくれた。


暫くの時間が流れて、私は

「……………」

恥ずかしさに居たたまれなくなって、顔を上げられなくなっています。
やっと涙は止まったけれど、泣きじゃくってひどい顔をしているのは明らかだし、なにより目の前の彼のタンクトップに涙とか鼻水とかをつけてしまって、申し訳なさを通り越して罪悪感が凄い。土下座して謝りたい。

「ご、ごめん…カラ松くん、あの、は、鼻水つけちゃった…」
「気にしなくていい」
「ごめんなさい…」

さすがに鼻水をつけたのは、自分でも最低だと思っています。
顔を見られたくなくて、離れるに離れられず、けれどいつまでもこのままで居るわけにもいかないので、俯きながら体を離す。テーブルの上のティッシュボックスを探って、大量のティッシュで顔を覆った。
カラ松くんがどんな顔をしているかも分からないけれど、呆れられてはいないかと心配になる。そっと目元だけ出してカラ松くんを見上げると、頬を赤らめて幸せそうに微笑む顔と対峙してしまい驚いた。なんで、そんな顔してるの。

「すっきりしたろ?」

そう笑ったカラ松くんが、私の頭をいい子いい子と撫で回す。緩み切った涙腺がまた緩んで、ティッシュに染み込んでいった。

「…カラ松くん、もう私を甘やかすのやめてよ」
「それは無理な相談だな。好きな人を甘やかしたいのがオレのポリシーなんだ」
「……………」

そういえば、私は目の前の彼に告白されたんだっけ。
ティッシュの海から顔を上げて、彼を見る。不思議そうに首を傾げ、まだ私の頭に手を置くカラ松くん。これ以上問答を続けても、きっと彼は私の負の思いを全部受け止めようとするし、下手したら弱音もなにもかも引き摺り出されるかもしれない。

「……(カラ松くんの包容力って凄まじいな…)」
「なまえさん?」
「あー…いや、あのさ、…その、告白してくれたのは凄く嬉しいんだけど」
「そうか!良かったぁ!」
「あ、いや、だから、」
「なまえさんに引かれてしまわないかと少し心配だったんだ。だが、嬉しいと言ってもらえて本当に良かった…」
「あの…」
「いいんだ、答えはゆっくり待つ。時間を掛けてオレを知ってくれ」
「…カラ松くんてさ、」
「ん?」
「………なんていうか、ちょっと」

サイコっぽい気がある?
悪い子ではないと思うんだけど、人の話聞いてないっていうか…大丈夫かな。
考えた末に、私はひとつ頷いた。

「まずは、お友達になろうか、カラ松くん」
「ああ!ゆくゆくはオレのシェリーになってくれ!」
「え?なに?早速不安になってきたんだけど」
「え?」


この出会いは、幸か不幸か。

明日仕事行くの憂鬱だなぁ…
辞めたら良いんじゃないか?
え?
ん?
カラ松くんって、働いてる?
いや、働いてないが?
えっ?
えっ?
(2017.08.17)


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