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「ちゃう」
「…ギン」
虚圏に来てから、真っ白い服に身を包んだ私たち。市丸隊長には、もう隊長じゃないからといって名前で呼ぶことを強制された。
「私は…、いつ、帰れるんですか」
「んー?」
「…帰りたい」
虚圏に連れてこられたのも、ギンの強制。ギンのことは大好きだけど、みんなに会えなくなったことがもの凄く悲しい。
「ボクが居るのに、そういうこと言うん?」
「だって…私、」
「我が儘言うたらあかんよ。どうせあっちに戻ったって、こっちに来た時点で敵なんやから」
「…ギンが、勝手に連れてきたくせに…」
我が儘なのはギンの方だ。自分の我が儘で私を虚圏まで連れてきといて、そういう意地悪を言う。私がギンを拒絶できないのも、解っているくせに。
「怒らんといてよ。ボクが悪いみたいやろ?」
「…ギンが悪い」
「なんでや。優はボクのこと嫌いなん?」
真面目な声でそう言いながら、後ろから抱きついてきた。頭の上にギンの顎が乗る。
「嫌いだったら…、とっくの昔にギンのことぶっ殺してます」
「じゃあ好き?」
「ギンは?」
「今はボクが質問しとるんやから、答えてよ」
「大好きです。それはもう、監禁でもしたいぐらいに」
私の体に回る腕に、力が入った。
「ボクもや。せやから、監禁してもええ?」
「…こっちに連れてこられた時点で監禁みたいなものじゃないですか」
「嫌やなぁ。ちゃんと自由にさせてあげとるやん」
「どこが…。ここに自由なんて無いじゃないですか…」
面白い人だって居ないし、変な人しか居ないし。遊ぶ物も場所も無い。それに藍染の気に触ることがあると怖いから、目立ったことなんてできやしない。
「ボクが居るやん。それじゃあかんの?」
ギンの腕にさらに力が入る。少し苦しいぐらいに。
「いけませんよ…。私は我が儘なんで、みんなと遊びたいです」
「…嫌み?」
「もちろん」
「ふぅん…。ひどいなぁ。ボクはこんなに優が大好きやのに。…それでも、優はまだみんなの所に帰りたいなんて言うん?」
「…」
黙っていたら、ギンの腕が緩んで私から離れていった。急激に寂しくなって振り返ったら、視界が真っ白になった。さっきよりもきつく抱きしめられ、顔はギンの胸板に押しつけられ、息が苦しくなった。
「ごめんな。無理矢理連れてきてもうて」
寂しそうな声で謝られ、胸が苦しくなった。
「嘘です。本当は…、ギンが居てくれれば、幸せですから」
「…ホンマに?」
「もちろん」
「…良かった。やっぱり優大好きや」
ギンの嬉しそうな声が嬉しくて、ギンの背中に手を回した。
「私も…意地悪ばっか言ってすみません。もう帰りたいなんて言わない」
「うん」
「だから…、ずっと、一緒に居てね」
「もちろんや」
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