小さな僕の好きな人

「副隊長〜!」

僕は自分ができる最高の笑顔で愛しい副隊長に駆け寄った。

「なぁに?」

桃色の髪にぷくっとした可愛らしいほっぺ。犯罪級の可愛さを兼ね備えた副隊長。ああなんて愛しいんだろう。

「おまんじゅう、食べますか?今急いで買ってきたんです」
「やったぁ!食べるー!」
「どうぞ」

副隊長は包み紙をびりびり破いて箱を開ける。その小さな手すらも美味しそうに見えてしまう。

「あの、副隊長」
「ん?」

まんじゅうを頬張りながら、可愛い顔で僕のことを見上げてくる。

「名前で呼んでもいいですか?」
「うん、いいよ」
「じゃ、じゃあ…やちるちゃん」
「うん」

やった。僕も副隊長を名前で呼ぶことができたぞ!

「おまんじゅう、そんなに好きなんですか」
「そーだよ。美味しいもん」
「僕やちるちゃんのこと好きですけど、やちるちゃんは、僕のこと好きですか?」
「うん。いっつも美味しいものくれるもん」

嬉しい! やちるちゃんが本当に好きなのは美味しいものな気がするけど、とにかく嬉しい!

「やちるちゃん、僕まだまだ未熟だけど、美味しいものいっぱい食べさせてあげるし楽しませるから、大きくなったら結婚してくれませんか!」

やちるちゃんの左手薬指に、でかい飴のついた指輪をはめてあげた。

「けっこんて何?美味しいの?」

そんな答えが返ってくるとは思わなかった。

「二人で誰よりも仲良くなって、幸せになって毎日楽しくすることですよっ」
「ふーん」
「…嫌ですか?僕やちるちゃん大好きですよ?」
「んー、」

やちるちゃんは指輪の飴をなめながら僕を見てくる。そんなに見つめられると照れちゃうなぁ。

「よくわかんないけど、美味しいのくれるならオッケー!」

可愛い笑顔でそう言ってきた。

「まじですか!わーい!」

調子にのってやちるちゃんに抱き着いた。お菓子の甘いにおいがする。

「やちるちゃん大好き!」
「そこのロリコン、通行の邪魔だよ」

突然の声に振り向くと、弓親さんが眉間にシワを寄せてたっていた。

「ロリコンじゃないです!愛です!」
「気持ち悪いこと言わないでくれる?」
「ロリコンじゃないです!」
「わかったから…」

弓親さんは呆れたような顔でため息をついた。

「僕は本気ですよ!」
「そういうのは大人になってから言いなよ」
「だ、だから、大きくなったらって話じゃないですかぁ」

僕の愛は本物だ! 絶対やちるちゃんと結婚するんだもん。

「まぁ頑張りなよ」

弓親さんは僕とやちるちゃんの頭を撫でて、去っていった。

「やちるちゃん、ずっと仲良くしましょうね」
「うん!」

それから僕はロリコンと噂されるようになってしまったけど、気にしないことにする。