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「主婦がいる…!」
銀さんと神楽ちゃんが11時になっても起きていなかったから、台所を借りてご飯を作ってあげていた。
するといつの間にかやってきていた優さんが僕を見て、主婦だなんて言いやがった。
「いいにおいだなー。私も食べたーい」
「多めに用意してあるんで心配無用です」
「さすが新八!気が利くね!私が来ることを察知していたね!?」
「元々神楽ちゃんが食べまくるから多く作ってるだけですよ」
「またまたーそんなこと言ってさー。本当は私に来て貰いたくて作ってたんじゃないのー?」
優さんの冗談混じりの言葉にドキッとする。
事実は本当に神楽ちゃんが大食いだからという理由なのに。
「あんまりめんどくさいこと言うとご飯抜きにしますよ」
「新八の分のご飯分けてもらうからいいよ」
「抜きだって言ってんでしょーが」
そろそろ味噌汁の味見をしようと思ったら、突然体を拘束されて動けなくなった。
僕の体に巻き付く二本の腕。
首筋にかかる吐息。
背中に押し付けられる柔らかい何か。
「ななな…何すか」
「ご飯抜きにされたくないからおねだり」
「こんなことしなくてもご飯くらいあげますから…」
だから離してくれないと心臓がもたない。
「私、新八の作るご飯好き」
「…ありがとうございます」
「これからもずっと新八のご飯食べたい。ずっとずっと、新八にご飯作って欲しい」
「…じゃあ、毎日万事屋来てくださいよ。いつでも僕がご飯作って待ってますから」
ドキドキしながら返答したのに、優さんは無言だった。
何か不味いことを言ったのか不安になる。
「毎日私に味噌汁作ってくれ、って言えば、伝わる?」
それは男が言うべきプロポーズのセリフだろうが。
というかプロポーズ?
僕まだ16歳なのに?
「新八が18になったらお嫁さんにしてあげるから、他の子に心奪われたりしないでね」
「嫁じゃなくて婿でしょうが」
「へぇ、お婿にきてくれるんだ?じゃあ私がお嫁さんだから味噌汁作れるようになっとくね」
優さんはくすくすと笑っているが、なんで付き合ってもいない人と結婚の話を進めてるんだ。
「あ、あの、優さ…」
「んー?」
すごく嬉しそうな甘えた声を出されて、言葉がつまる。少し迷ったが、体に巻き付く優さんの手を握ってみる。
「す、好きです」
「…えっ?そうなの?」
「…はぁ!?知っててこういうことしてたんじゃないんですか!?」
「いや、全然知らなかったけど…ていうか知らないからここまで大胆なアピールしてたんだけど」
てっきり確信犯だと思ったのに。だからこの際言ってやろうと思ったのに。
「でも私も新八好きだから両想いだね!あと2年新八に飽きられないように頑張るから見捨てないでね!大好きだよ!ちょー好きだよ!好き好き!」
「は、恥ずかしいんでやめてもらえませんか!銀さんたち起きてきたらどうするん…」
優さんの方を見ようと振り返ったら、居間から台所を覗きこんでいる銀さんと目が合った。
優さんはそんなこと露知らず、僕が振り向いた隙を見計らって、僕の唇を奪ってきた。
パンデモニウムさんのことが頭を過ったがあれは人間じゃないから今回のをファーストキスとしよう。
なんで毎回人前でこんな姿晒さなきゃいけないんだ。
優さんの肩を押して離れさせたら、満足げに笑みを浮かべていた。
「奪っちゃった!」
その笑顔がとてつもなく眩しくて、銀さんに見られてしまったことや、視界の端で味噌汁が噴き溢れていることなんてどうでもよくなってしまった。
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