階段下のロマン

同じクラスの不二咲千尋。
小柄で細身で可愛らしい見た目をしている割に声がハスキーな女の子。
ただ気に入らないのが、女子とは最低限にしか話さないくせに男子とは気軽に話すところだ。
可愛いからって男子とばかりしゃべって、調子に乗っているのだろうか。
ちやほやされて楽しいんだろう。

そんなことを考えながら階段を上っていたら、上の方には階段を降りてくる彼女がいた。
醜いことを考えていたときに会ってしまうなんて。
なんとなく話したくなくて、そのまますれ違ってしまおうと思ったのだが、そうはいかなかった。
偶然にも風が吹いて、スカートが捲れあがった。
私のだけでなく、彼女のスカートも。
私の方が低い位置にいただけあって、彼女のスカートの中をはっきりと見てしまった。
細くてか弱い両足に、子供のようなかぼちゃパンツだった。
高校生にもなってなぜそんなものを履いているのか理解ができなくて、凝視してしまった。

「あ…ああ…」

彼女は顔を赤らめるのかと思ったが、逆に青ざめてスカートを抑えた。
お互い女子なのに何をそんなに焦る必要がある。
不思議に思って忘れていたが、自分のスカートが捲れていることに気が付いて慌てて抑えた。

「ふぅ…止んだ、かな?」

吹き荒れた髪を軽く整えて彼女を見てみると、なぜか泣きそうな顔をしていた。

「み…、見た?…よね…?」

この世の終わりでも来たのかというくらい絶望的な顔をして聞いてきた。
かぼちゃパンツを見られるのがそんなに嫌だったのか。

「い、いや…見てない、よ」

嘘をつくのも忍びなくてどもってしまった。
目をそらして見たものの、彼女の視線が痛くて逃げ場がなかった。

「ほ、ほら、私もパンツ見えちゃってただろうし、おあいこってことで…」
「…」
「…私のパンツ見たの許すから、千尋ちゃんのパンツ見たこと許して」

正直に言ったら、千尋ちゃんは顔を赤らめた。
怒ったかと思いきや、やっぱり泣きそうな顔のままで、私の腕を掴んできた。

「あ、あのね…二人で話がしたいから、ちょっとだけ、付き合って…」

そんな顔で言われて断れる訳もなく、私は頷いて千尋ちゃんについていった。
本当に二人きりになりたかったらしく、保健室に連れ込まれた。

「話って…」
「ごめんなさい!今見たこと、誰にも言わないで欲しいの!」
「え、え?別にそんな、千尋ちゃんのスカートの中とか、別に人に言いふらしたりしないよ…私だって、見られたわけだし…」
「…ご、ごめん、なさい…」

ついに泣き出してしまい、混乱する。
なぜそこまで必死なのか、落ち着かせようと思ってベッドに腰かけさせた。

「だ…大丈夫?」

自分も千尋ちゃんの横に腰かけ、ハンカチで千尋ちゃんの涙を拭ってあげる。
すると千尋ちゃんはまた顔を赤らめた。

「ほ、本当にごめんなさい、悪気は無かったんだけど……。…ごめん、気持ち悪いよね…」
「別に、そんなことないから…」

こんなにも謝りまくるのは正直気持ち悪い。
まぁ言えないから慰めるけど。

「男なのにこんな格好してるなんて、誰にもばれたことなかったから…」
「…え、男?誰が?」
「…え?」
「え?」

千尋ちゃんは一気に青ざめた。
そんなまさか、そんなことありえる訳がない。
不二咲千尋が男だなんて、そんなわけ。

「千尋ちゃん、男なの?」
「…そそ、そんなわけ、ないよぉ」
「でも今自分で言ったよね。脱いでみてよ」
「はっ、恥ずかしいから、やだぁ…」

千尋ちゃんからは尋常じゃない汗が流れ始めていた。
それに手も声も震えていて、みていられなかった。

「千尋ちゃん汗すごいよ、暑いの?脱ごうか」

千尋ちゃんの胸に手をあててみるが、女の子の膨らみはなかった。
すぐにその手を払われてしまったから、今度は千尋ちゃんの手を私の胸に触らせた。
青ざめていた顔もまた赤くなって、やはりすぐに手を離していった。

「そっか…千尋ちゃん、男だからいつも男子とばっかしゃべってたんだね」
「な…なんで、脱ごうとしてるのぉ」
「男だから、女子が苦手なんだね。だから、胸触ったくらいでスカート押さえ付けてるんだね?」

シャツのボタンを全て開けてスカートを脱ぎ捨てれば、千尋ちゃんはもう前屈みのその体勢から動けなくなっていた。

「男ならさ、女子にちょっとは興味あるでしょ?」

千尋ちゃんの正面から見下ろして顔を覗きこんでみる。

「千尋ちゃんが男だってこと秘密にしといてあげるから、もうちょっと素直になってくれる?」

うずうずして千尋ちゃんをベッドに押し倒した。
こんなに可愛らしい顔の男子なんてなかなかいない。
千尋ちゃんが男だとばれたのは私が初めてらしいから、こんな体験するのもきっと初めてなんだろう。

「ねぇ、千尋くん?…触ってもいい?」
「…」

千尋ちゃんは真っ赤な顔で小さく頷いた。

「二人だけの秘密、だからね?」

半ば無理やり頷かせて、私は千尋ちゃんの足に手を滑らせ、かぼちゃパンツの中へと手を滑り込ませた。
始業のベルが鳴っていたけど、千尋ちゃんとの秘密の行為は千尋ちゃんが果てるまで続けさせてもらうことにした。