愛してる

「あ、痛っ…」
「大丈夫ですかっ!?」

山で材料を収穫していたら、指を切ってしまった。
今日はちょうど超高校級の保健委員の蜜柑ちゃんも一緒に居てくれたから、すぐに近寄ってきた。

「大丈夫だよ、ちょっと切っただけだから…」
「ちゃんと見せてください!」

蜜柑ちゃんは心配そうな顔で近付いてきて私の前に座り込んだ。
そんな無防備にアヒル座りしたら純白のパンツが見えちゃうよ。

「はわわ…」
「けっこう深くいっちゃったかな」

ぷくっと血の玉ができて、それでも止まることはなく指を伝って地面に落ちた。

「いま絆創膏も何も持ってないので、ごめんなさいぃ」

蜜柑ちゃんは申し訳なさそうに私の指をくわえ、傷口やその周りを丁寧に舐めた。
そんなに舐めたら汚いのに。そう注意しようか迷ったが、一生懸命な蜜柑ちゃんの姿に見とれてしまった。

「ごめんね蜜柑ちゃん、こんなことさせちゃって」
「えへ…優ちゃんのためならこのくらい喜んでさせてもらいますよぅ」

頬を染めながら微笑み、また私の指を口に含む。
こんなに素直で可愛い蜜柑ちゃんと二人っきりの状況で指を舐めてもらえるだなんて、なんたる至福。
真夏で暑いはずなのに背中がゾクゾクする。
真夏だからこそ、こんな変な気分になるのかな。


「ありがとう、蜜柑ちゃん」

私がこんなにも蜜柑ちゃんが好きなのに何も知らずに暢気に構ってくれて。
私がわざと指を切ったのも知らずに舐めてくれて。
私をこんなにもわくわくさせてくれて。

「私、蜜柑ちゃんのこと大好き」

その従順で弱気な性格が。
笑うと天使のように可愛い顔が。
暑さで滴るその汗が。
汗で張り付くワンピースが。
服を張り裂きそうなその柔らかそうで豊満な体が。
蜜柑ちゃんの全部が、

「大好き」
「えへへ…照れちゃいますよ?私も、優ちゃんが大好きです」

ぎゅ、と手を握られ、蜜柑ちゃんの熱い体温を感じる。


「ねぇ蜜柑ちゃん」
「なんですか?」
「私、唇が乾燥してて痛いな」

蜜柑ちゃんはきょとんとした後にっこりと微笑んだ。

「私が、潤してあげますね」

天使のように可愛い笑みのまま、マシュマロのように柔らかい唇を私のたいして乾燥なんてしていないそれに押し付けてきた。
そして超高校級の保健委員は引き下がることなく、私の唇を犬のように舐め続けた。
蜜柑ちゃんのことが大好きな私が舐められるだけで耐えられるはずもなく、蜜柑ちゃんの体に手を回して逃げられなくし、唇を少し開けて蜜柑ちゃんの舌を絡めとった。
蜜柑ちゃんは目を丸くして驚いたものの、私のことを優しく抱き締めて受け入れてくれた。


「っは…」

何分そうしていたのか、唇を離した頃にはもう唇の感覚が無くなっていた。
蜜柑ちゃんの服はいつもよりもひどく体に張り付いていた。この真夏日に私と密着していたんだから無理もない。
そして私も、尋常じゃない汗をかいていた。

「ふふ…優ちゃん、汗の量が多くて、顔真っ赤ですよぉ?熱中症かも知れないので、水分補給しないといけませんねっ」

蜜柑ちゃんは持ってきていた水を口に含み、私と唇を合わせ口移しをしてきた。
ただの水なのにこんなにも美味しく感じるなんて、私はいかれてしまったのかもしれない。

「もっといっぱい飲みましょうねー」

まるで患者さんに優しくする天使のナースみたいな態度で、私に何度も水を飲ませた。
そうか、保健委員だから弱い子を見ると構わずにはいられないのか。もしかしたら、蜜柑ちゃんは私が好きなわけじゃなくて、看病したくなる子が好きなだけなのだろうか。


「蜜柑ちゃん…」
「はぁい?もっと飲みたいんですか?」
「…愛してる」
「そ、そんなに何回も言わないで下さいよぉ!私も優ちゃんのこと大好きだって言ってるじゃないですかぁ」

大好き。嬉しいよ。
けど私がそれで満足できると思ってるの?私は、蜜柑ちゃんを、愛してるんだよ?だから蜜柑ちゃんも、私を、愛してよ。

「愛してる」
「はわわわ…恥ずかしいですよぅ」
「愛してる、心から。愛してるよ」

私はただ、蜜柑ちゃんが愛してると言ってくれるまで永遠に愛を囁き続けよう。