無視はイヤです

「ご、ごめんなさいぃぃ…」

ふと、泣きそうな声が耳に入ってきた。
聞きなれた声にその台詞が妙に苛立って、飲んでいたココアの缶を握り潰しそうになる。
平静を装いながら声のした方へ行くと、保健室へと入っていく女子の姿が見えた。
もうすぐ授業の始まる時間だったが、その女子のことが気になったので自分も保健室に立ち入った。

「ひゃあぁぁぁっ」

保健室の扉を開けると、着替え中の罪木さんがいた。
なぜか全身に水が滴っていて、脱いだブレザーとシャツも水を吸って色が変わっていた。

「なんで濡れてんの?」
「えっと、か、かけられちゃいまして…」
「早く脱ぐか拭くかしなよ」
「で、でも、あの…」

着替えのありそうな棚を探してみたが、制服は無く体操着しか見当たらなかったのでそれを取りだし罪木さんの近くに置く。
さすが保健室なだけあってタオルはたくさんあったから、大きめのタオルを出して罪木さんに近付いた。

「まだ脱いでないの?」
「男性がいるのに脱ぐのは、恥ずかしいですぅ…」
「は?俺が邪魔だって言いたいの?」
「そういうことではなくてっ…」
「俺が罪木の下着なんかに欲情するわけないだろ」

罪木を強引にベッドに座らせて、頭にタオルをかぶせて適当に水気を取ってやる。
せっかく綺麗な髪なのに、これも誰かに切られたせいで長さがバラバラでもったいない。

「ど、どうしてこんなことしてくれるんですかぁ…?」
「は?何、迷惑なの?」
「違いますぅ!だって、みんなはあんまり私に触ろうともしてくれないから…」
「ふーん」

罪木さんの手を取って、湿った肌をタオルで拭う。
全身濡れているせいで、肩や顔も拭かなきゃならなかった。

「下着濡れてるけどどうすんの?」
「…このままで、いいです」
「外せば?もう授業始まるしさぼるでしょ。一時間くらい干しとけばちょっとは乾くでしょ」
「…」
「は?罪木さんのくせに無視しないでよ」
「す、すみませぇんっ…」
「ていうかスカートも脱げよ」

無理やり引っ張って、なんとかしてスカートも脱がせてみた。
上下とも下着だけの女子と保健室のベッド。
なんだろうこの胸の高鳴りは。

「とりあえず外すから」

罪木さんの体に手を回して、背面のホックを外してみる。
罪木さんは頬を染めながら胸を隠した。

「それじゃ拭けないじゃん…腕どかしてよ」
「あ、あとは自分でできま、ふっ…」

罪木さんの両手が塞がっているのを良いことに、唇を塞いでみた。
閉ざされていた唇を割って舌を捩じ込むと、抵抗するべく罪木さんの手が俺の肩を押し始めた。

「何?罪木さんのくせに構ってもらって嬉しくないんだ?じゃあ明日から無視しようかな」
「ふぇっ…や、あ…」
「うーそ。俺がそんな酷いことするわけないじゃん。俺優しいから、今だってちゃんと体拭いてあげるし」

罪木さんの露になった胸をタオルで隅々まで拭きながら揉みしだく。
罪木さんは唇を噛み締めながら声を出さないように我慢していた。

「ごめんね、くすぐったかった?」
「い、いえ…」
「あれ、罪木さん。パンツも濡れてるみたいだけど、乾かさなくて大丈夫?」
「だ、大丈夫ですぅ!」
「だめだよ、風邪引いちゃうよ?こんなにぐしょぐしょに濡れてんだから、放置しちゃだめだって…」

太ももを撫でながら罪木さんの秘部にたどり着くと、たしかにそこは濡れていた。
水をかけられたせいなのか俺のせいなのかは解らないが。

「そ、そろそろ寒くなってきたので、服着ますぅ…。横島さんが出してくれた体操着が…」
「寒いの?風邪じゃない?寒い時ってさ、人肌で温めるのが良いってよく言うよね」
「あの…横島さん…?わ、私は服さえ着れば風邪なんか…」
「無理しないでよ。それとも何?罪木さんのくせに、俺の好意を無下にするつもり?」
「…っ」

俺は純粋に、罪木さんのことを思って服を脱いだ。
俺は男子高校生として健全に、罪木さんに欲情した。

「あ、あの…まだ高校生で、しかも学校で、こんなことするのは良くないと思いますぅ…」
「そうだ罪木さん、俺保健体育の成績悪いからさ、教えて欲しかったんだよね。実技で」
「じじじ、実技って…」
「女性の体のこと解んないからさぁ、ついでに調べさせてよ」
「でもぉ…」

罪木さんは青ざめて泣きそうな声を出す。
はっきりしないしゃべり方とか虫酸が走る。

「せっかく俺が罪木さんなんかのために時間割いてるんだから、はっきりしてよ」
「っ…」
「はぁ…呆れた。もう罪木さんに構うのやめよっかな」
「そ、そんな…待って、待ってくださいぃ…。無視されるくらいなら、何でもしますからっ…」

罪木さんはついに泣き出してしまった。
何でもするなんて簡単に言うのはよくないよ。

「じゃあ、いれさせてね」
「は、はいぃ…」

俺は罪木さんの同意を得て、罪木さんをベッドに押し倒した。
こんなに簡単にこの豊満な身体が手に入るなんて思わなかったな。

「はうぅ…」
「んっ…罪木さん…」
「っ…」

もっと手こずると思ったんだけど、案外チョロかった。
チョロすぎて物足りないしつまらない。
もっと苦労して落としたかったのに、残念。
本当に残念で罪木さんなんかにガッカリさせられちゃったから、残念だけど明日から罪木さんなんかのために時間を割くのはもったいないや。

「あ、出るごめん」
「!?ま、待っ…」
「くっ…」

後始末もめんどくさそうだし、罪木さんのことは明日から無視させてもらおう。