不純な純情

「なー左右田」
「なんだよ」

左右田は私がはしゃいで壊してしまったラジコンを直してくれている途中だった。
手際よくそれを直してくれる左右田はなんとなくかっこよく見えたりもする。普段は全然かっこよくないのにおかしいね。

「貧乳と巨乳、どっちが好き?」
「…無いよりはある方が良い」
「はっきり言え」
「…巨乳」

さすがにはっきり言うのは恥ずかしかったのか、左右田は頬を染めた。見た目チャラいくせに純情なんだよなぁ。

「貧乳のソニアちゃんと巨乳の私どっちが好き?」
「巨乳のソニアさん」
「ざけんな、選択肢に無いもの答えんな」
「ふざけてんのはお前だろ?実際はソニアさんが巨乳でお前が貧…」

左右田の頭を叩いてやった。そしたらそれ以上は何も言わなかった。

「私も童貞の左右田より卒業してそうな狛枝のが好きだな」
「決めつけんな、ばか!」
「違うの?ていうか、左右田だって私の胸見たことないのに偉そうなこと言うな」
「…はい」

確かに胸は無いけどな。ていうか、クラスの子の体型が素晴らしいだけだろ。女子の半分以上が巨乳ってどうなってんだよ。

「でも俺は貧乳でも構わねーよ」
「…何がだよ、揉むことに対してか?」
「ちが…違わないけど…」
「安心しろ、フォローをいれたところで左右田が女子の胸をどうにかする機会は訪れないさ」

あぁうざいなぁ、きっと私よりも十神や花村の胸の方がでかいんだろうなぁ。

「じゃあもし、俺がお前のこと好きだって言って、付き合うことになったとしても、触ることもできねぇってのか」
「…何を言ってるの?」
「だーかーらー、好きだって言ってんだよ!」
「本当は貧乳が好きだから?」
「ちげぇよ!」
「やっぱ巨乳が好きか…」

へこむなぁ。ていうか、そうじゃないよ。告白されてんのになんで胸ばっか気にしてんだ。

「胸とか関係無く!たとえお前が嘆きの壁だとしても、それでいいくらい好きだ!」
「…よく胸の話しながら告白とかできるね」
「いや、つい…」

左右田の顔は真っ赤になっていた。純情で可愛いなぁ。

「まぁ私も、本当は童貞の左右田が好きだけどね」
「…まじか!!」
「うん、だから、胸触ってみるか?」

挑発的に言ってみたら、左右田は持っていたドライバーを全て落とした。

「…いや、でも貧乳だしいいや」
「うっわ、最低」
「こ、ここで触るって言ってもいきなりすぎて最低とか言っただろぉ!?」
「それもそうだ」

あーあ、もうちょっとあったら喜んで触らせてあげるのにな。残念だ。まぁ左右田も残念な奴だからお互い様か。

「頑張って毎日牛乳飲むから、もうちょっと待っててね」
「…おう」
「今は貧乳で我慢してね」

左右田に背後から抱き付いてみた。当然この程度では喜ばないだろうと思ったのに、耳まで赤くしてやがった。

「さすが童貞、純情だな」
「うっせ、うっせ!」