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「だからどうした」
「ちょっとそこの縁側で首吊っててくれない?」
「はぁ!?」
優の突然のお願いに、一角は声を荒げて彼女を見た。
「だからぁ、てるてるぼうずだよ。私じゃ不器用で作れないから、なって欲しいなぁって」
「それはアレか?雨なのを利用して遠まわしに死ねってことか?」
「大丈夫。一角ならなんでもできるよ!自信持って!」
「なめてんのか…?」
優はお願いを聞き入れてくれない一角に対してため息をついてから、そっと一角の首に両腕を回した。突然のことに一角の心臓は波打った。
「明日、一角の誕生日でしょ。だから晴れたら一緒にデートしたいなぁ」
「優…」
優が離れると、一角の首に長めのロープがついていた。
「つーことで、一晩がんばって耐えて」
「死んだらどうする!」
「死んだその日が誕生日。ど根性がえると一緒だね!」
「てめぇは…」
「晴れたらてるてるぼうずには銀の鈴が送られるんじゃなかったっけ」
そう言う優の首をよく見ると、銀の鈴がかけられて、チリンと可愛く音を鳴らしていた。
「ぜひ頑張ってね」
晴れたら鈴付きの自分をプレゼントすると言わんばかりに優はニッコリと笑みを浮かべた。
「じゃ、おやすみ」
もう一度一角に近付いて、今度は頬に唇を押し付けた。
「な…」
「…早くしてよ。やんないなら私が縛る」
戸惑う一角を見越してか、優は素早い手つきでロープを高い位置にくくりつけた。
「寝たら首しまるから気をつけてね」
座った状態のまま一角を動けなくさせるため、優は一角の足元に丸まって、勝手に膝枕を拝借して眠りについた。
◆翌日◆
「一角、雨降ってるね」
「…そうだな」
「知ってる?雨降ったらてるてるぼうずって、首切られるんだよ」
「な…」
優は躊躇わず斬魄刀を抜き、刃先を一角に向けた。
「つーことで、さようなら」
刀を振りかざす優の動きを止めるべく、一角は優をきつく抱きしめた。
「これでも一晩寝てねーんだぞ?褒美くらいくれてもいいだろ」
「出血大サービスで首を切ってやる」
「その考えから離れろ」
「じゃあ一角の鼻から大出血するくらいのサービスの方がいいかな?」
「…できるもんならやってみろよ。手加減しねぇぞ」
そう言い一角は優の顎をすくい、大胆に唇に食らい付いた。
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