クリスマス

「トナカイはいねぇのか」
「んなもん、いるか」

 深夜零時を過ぎた頃、千晴が不機嫌な顔で真っ赤な衣装を着たまま帰宅した。全身から酒の匂いを漂わせているが、本人は素面で眉間に皺を寄せている。

「クリスマスだからってそんなにハメ外すかね。テンション上がるのはガキだけで十分だっつうの。いい年した大人が、なにがメリークリスマスだ」

 ぶつぶつ文句を言いながら真っ赤な衣装のまま、風呂場へ向かっている。

「晋助、そこにチキンあっから、食っていいぞ」

 捨て台詞のように言うと風呂場へ入っていった。

「揚げた鳥肉に罪はねえ」

 玄関先から大筒のような荷物を拾い上げて台所に運ぶ。
 クリスマスのバイトは時給がいいと喜んでいたが、いろいろ弊害もありそうだ。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、火燵の居間へ戻る。


「その酔狂な量は何だ」

 皿に山のように積み上げられたフライドチキンを持って、風呂上りの千晴は仏頂面だ。火燵に入り炭酸飲料を飲みながら鳥肉にかぶりついた。

「ミニスカサンタの女の子が酔っぱらいに絡まれてたんで助けたら、頭から酒、ぶっかけられて、ムカついたんで暴れたら、バイト、クビんなった」
「そりゃあ暴れ甲斐があったな」
「うっせえよ。でも、女の子たちがコレ、くれた」
「やっぱり、暴れ甲斐があったじゃねえか」

 明日の昼食はどうやらコレになりそうだ。


It is over.

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