万事屋さんの仕事
「よぉ」
「あ」
現場の応援要員で仕事をしていたら、小型犬を六匹連れた万事屋オーナーと出くわした。
「珍しいな、怜が外仕事」
「アンタもな、何日ぶりの仕事?」
「余計なお世話ですぅ、だぁぁぁ絡まってんじゃねぇよ、ほら、行くぞ」
ぬいぐるみのような小さな犬がちょこまかと銀髪天然パーマの足元で動き回っている。
六匹に翻弄され天パが歩いて行った。
「小型犬、似合わない」
思わず呟いていた。
「お」
「あっ」
鑑識の分析結果を届けるため真選組屯所へ向かう途中に大型犬四匹と肩にオカメインコを乗せた万事屋オーナーが歩いていた。
「どこ行くの怜ちゃん? おつかい?」
「子どもみたいに言うな、おつかいって何だよ……あのさ……そのインコは飛んでいかないのか」
「ああ、こいつもちゃんとリードがついてるんだよ。コレ、ね。じゃあな、道草すんなよ」
つぶらな瞳の大型犬四匹はおとなしく従順に天パと歩いていたが、オカメインコは銀髪のもじゃもじゃが気に入ったのか始終くちばしでつついていた。
「うしろ姿が、奇妙」
ひとり首を傾げた。
「おおっ」
「……」
本日三度目の遭遇に声は出なかった。
コンビニで少しの買い物を済ませた帰り道、 万事屋オーナーはフェレットを三匹連れて歩いていた。
「その袋の中にいちご牛乳はある?」
俺の持っているコンビニ袋を指さしてにやりと笑う天パはどこか楽しそうだ。
「一日に三回も出くわすなんて、運命、感じちゃうよな」
そうでもない、だろ。
俺の行動範囲は狭い、そして万事屋銀ちゃんの仕事の範囲も狭いってことだ。
「素朴な疑問……今日の仕事の内容はナニ? ペットの散歩とか?」
「そ、運動不足気味だからだってよ、ちなみにこのイタチくんはアズキ、マッチャ、ミルクっていうんだけどさぁ、どれがアズキでどれがマッチャやらさっぱりよ」
やる気のない死んだ魚のような目で薄茶色のフェレット三匹を見つめて銀髪天パは欠伸をした。
「新八と神楽は? アンタひとりだけの仕事?」
万事屋の従業員ふたりの所在を聞けば
「新八は猫、うさぎ、猿担当。神楽はワニ、トカゲ、ヘビ担当」
「何で女の子の神楽が一番危険な動物? アンタが担当しろよ」
「怜ちゃん、神楽の怪力、忘れたの? このイタチくんたちなんて、あっという間にマダムの襟巻になっちまうんだよ」
好奇心旺盛なのかリードを引っ張りながら辺りを見回すフェレットたち。
「ああ」
神楽の力を思い出し納得する。
「怜ちゃん、もう仕事終わったんだろ? 万事屋さんももう仕事終わりなの、ごはん一緒に食べない? 新八と神楽も一緒だけど」
楽しそうな声で天パに誘われる。
「奢ってくれる?」
「いや、そこはワリカンで」
「何だそれ、珍獣の散歩依頼料、いくら?」
「企業秘密ですぅ」
おどけた口調の銀髪天パと並んで歩く。
二、三歩先には三匹のフェレットがちょこまかと進む。
今日、三度の偶然、偶然か必然か天パは運命なんて言っていたけど俺は面白かったから、どっちでもいい。
It is over.
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