自分から初めて告白して付き合うことになった彼女のナマエのことは、すごく大切にしたいと思ったのは自然なことだった。ただそれ以上に、もっと恋人らしいことしたいという欲も次第に強くなっていった。
部活が終わっても自主練が当たり前のバレー部、俺は寮生活だし、一緒に帰るとか滅多にできなくて、それでもどうしてもナマエのことを家まで送りたいと思って、今日は自主練を早々に切り上げた。
「賢二郎くんの練習してるところ久しぶりに見たけど、いつもかっこよすぎて、私すごくドキドキしちゃった」
手を繋いで隣に並び、興奮気味にそう語るナマエに俺まで嬉しくなった。
「ナマエが見てくれたからな」
「天童先輩や瀬見先輩にも何か言われた?」
「『彼女が見に来ると、普段より頑張っちゃう賢二郎ってなんかイイね!』って天童さんが。瀬見さんはこの前別れたらしいからグチグチ言ってたけど」
「ふふっ」
他愛無い話をしているとあっという間にナマエの家の前に着いた。彼女の家には明りがついていて、どうやら親がいるらしい。一回だけ挨拶したことあるけど、その時は制服で今はジャージ姿。さすがにかっこつかない気がして門戸から少し離れたところで立ち止まった。
「ここでいいよ。今日は送ってくれてありがとう」
「ちゃんと家まで送るから、また練習見に来いよ」
「うん。じゃあね」
別れ惜しい気持ちが体を動かした。家に向かって体を動かそうとしたナマエの肩に手を置くと、顔を寄せ触れるだけのキスをした。顔を離すと、ナマエの目が大きく開かれたと思うと、顔が一気に赤面した。その様子が可愛くて、小さく噴き出して笑うと、胸元をぽかぽかと叩かれた。
「不意打ち、ずるい」
「ごめんごめん」
「それ謝ってないでしょ」
「悪いことはしてないからな。不意打ちしたことに謝っただけ。俺が見てる間に家入れよ」
背中を押して家の方に向かせると、ナマエは足早に玄関の方へと歩いて行った。ドアを開け、家の中に消えたのを見送ってから、俺も寮の方へと走りだした。寮に着いてスマホを確認すると、ナマエから『キスしたの、ママに見られてたっぽい』とメッセージが届いていて、とりあえず近々また挨拶に行くことになりそうだ。