昼休みの屋上。
飯を食いながら、いつも一緒に帰るサボに今日からしばらく一緒に帰れないと言うと、ニヤッとした笑みを浮かべて俺を見た。

「知ってる。さっきエースんとこの担任とすれ違った時に言われた。小テストで赤点続きだから、放課後居残りになったんだろ」
「げ、サボにまで筒抜けかよ」
「しかも一緒に残ってエースに勉強教えてくれるのはエースが絶賛片想い中のナマエさんだってこともな」
「おま、それ、なんでっ」
「よかったじゃん。これきっかけに仲良くなれば」
「バカすぎて勉強教わるやつと仲良くなりたいなんて思ってもらえるわけねぇじゃん」

思わず溜息がこぼれた。ナマエは俺と同じクラスで今は席も隣の女子で、俺の好きな奴。なにが悲しくて好きな奴に、勉強教わるなんて格好悪いところ見せないといけないのか。当然勉強に集中できないのは目に見えていた。

「あの、エースくん、そこ間違ってる」
「あ?…ごめん、どこ?」
「ここの問13」

一つの机を挟んで向かい合うナマエに気を取られ、明らかに勉強に身が入っていない俺にナマエは困った顔をした。

「やっぱり私なんかじゃ役不足だよね…」
「はぁ?」
「もっと可愛い子とか、エースくんが話しやすい子の方が勉強にもやる気出るよね。私なんかより」

沈んだ声でそう言ったナマエに驚いたのは俺の方だった。俺はシャーペンを机に置くと、下を向いていたナマエの顔を両手で挟んで上を向かせ、真っ直ぐ見つめた。

「俺はナマエでよかったし、ナマエがいい」
「……え?」
「勉強にやる気がないとかじゃなくて、いや、めちゃくちゃあるわけではないけど。それよりナマエのことが気になってばっかっていうか、好きな子に勉強教わんのは男として恥ずかしいけど、二人きりで一緒にいれんの嬉しいし、ドキドキすんだよ」
「っ、待って!待って、エースくん!」

ナマエがガタッと椅子ごと後ろに下がって、俺の両手から離れた。俺の視線から逃げるように顔を背けたナマエの耳と頬が赤い。あれ、もしかして脈ありなのか。

「ナマエ」

俺は自分の席から立ち上がって、ナマエの身体の正面に立った。

「ナマエ」

もう一度だけ名前を呼ぶと、ゆっくりとナマエは俺を見上げた。

「……エースくん」
「今のでわかったと思うけど、俺ナマエのこと好きだから。だから俺と付き合ってください!」

俺の言葉にナマエは小さく頷いてくれた。昼休みの俺に教えてやりたい。今日の放課後のお前はめちゃくちゃ嬉しいことがあるからって。

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