たまたま停泊した島でオレの船に密航しようとしたところを捕まえ、それなりの医療技術があり、クルーとも打ち解けるのが早く、それならクルーになるかと誘ったのがナマエだった。ただのクルーのはずだったのに、いつの間にかナマエの姿を探すことが増えた。それがどういう感情ゆえの行動かは、知らないふりをしていた。
だが、他の海賊との戦闘中に怪我をしたナマエを見た瞬間、オレはブチ切れた。そして能力を全力で使い、その海賊を壊滅させた。

「怪我の治療は無事に済んだ。だが、おそらく跡は残る」

ナマエの背中には切られた際の傷跡と手術跡がくっきりと残ってしまった。白くてまるで雪原のような綺麗な背中は、斜めに赤く痛々しい傷跡が走っていた。

「ありがとうございます、キャプテン」
「クルーの治療もオレの仕事だ。それより、大丈夫か」

治療台の上に座り、脱いでいたキャミソールを着て、白いつなぎの袖を腰に巻いたナマエは、ゆっくりと治療台から下りた。医務室に二人きりでいると心臓はやけにうるさい。それと同時に先頭から3日経っても、明らかに落ち込んだままのナマエが心配になった。

「ご心配おかけして、ごめんなさい。次、戦闘になったら背後にもしっかり気を付けます」
「……無理はすんなよ」
「はい」

医務室から出るためにドアを開けようとしたナマエの背後に立ち、ドアを手で押さえた。

「キャプテン?」

首だけ振り返ったナマエが不思議そうにオレを見上げた。

「守ってやれなくて悪かった」
「……やめてください、キャプテン」
「え」
「私はキャプテンに守ってもらうためにこの船に乗っているわけじゃないです。最初は地元の島から世界を見たくて密航しましたけど、今はキャプテンの探している世界を見たくて、この船に乗ってるんです。だから、謝ってもらうことなんて何もない、この背中の傷もキャプテンに責任なんて微塵もないんです」

ナマエは真っ直ぐにオレの目を見てそう答えた。オレはドアから手を離し、ナマエの頭を撫でてから、自分の方に抱き寄せた。

「お前の言いたいことはわかった」
「あ、あの、なら、離してほしいん、ですけど」
「これだけは覚えてろ。オレは、ナマエが好きだ」
「…………え」
「だから守りたいと思うし、守らせてほしい。二度と大切なものは失いたくない」

オレの言葉に、ナマエの腕はそっとオレの背中に回されると、オレもナマエを抱きしめる力を強めた。

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