その日もコアラは怒っていた、原因はもちろんサボにあった。
「まったくもう!要件人間すぎるよ、サボくん」
「ねぇ、コアラちゃん、要件人間ってなに?」
ナマエはコアラの隣で書類の整理を手伝っていた。電伝虫に対して怒るコアラに問いかけた。
「え、サボくんって要件人間じゃない?要件だけ言ったらすぐに電伝虫切っちゃうし、そもそも気が向かないと電伝虫出ないし!」
コアラからの返答にナマエは首を傾げた。革命軍での立場は情報分析班の一人だが、一応サボの恋人でもあるナマエには、コアラの言っていることが不思議に思えた。
「……サボくん、すごくおしゃべりだよ。私と電伝虫で話す時は」
「…ナマエがそんな冗談言うなんて珍しいね」
コアラの反応にナマエは更に首を傾げた。
数日後、潜入先からもどったサボはナマエの部屋を訪れると、抱きしめそのままナマエのベッドに倒れ込んだ。
「あぁ、癒される」
「おかえりなさい、サボくん」
「ただいま、ナマエ」
額を合わせてから、二人はゆっくりと唇を重ねた。サボの手がナマエの服の中へ潜り込もうと動いたところで、ナマエが思い出したように体を起こした。サボは少し不機嫌そうに口を尖らせた。
「どうかしたか?」
「サボ君に聞きたいことがあって」
「俺に?」
「サボくんって私と電伝虫で話す時、いっぱいしゃべるよね?」
「そうだな。ナマエと話すと疲れも吹っ飛ぶっていうか、早く帰って顔見て話したいなって思うと、頑張れるだろ」
「私もサボくんとお話しするの好きだよ」
「なに?急にかわいいこと言うの、ずりぃな」
嬉しそうにサボはナマエの頬にキスを落とした。
「でもね、コアラちゃんがサボくんは要件人間だって言ってたの。要件言い終わったら切っちゃうし、そもそも出てくれないって」
「任務の連絡だけだからな、別にコアラやハッチとは要件だけで充分だろ。でもナマエは特別。離れてる間のこととか聞きたいし、声を聞けば元気そうとか、寂しそうなのとかも全部わかる。だからナマエとの電伝虫は俺にとって大事な時間なんだよ」
サボの言葉にナマエは幸せそうな顔になった。サボが頭の中では、どこまでもナマエを甘やかして蕩けさせて自分に溺れてしまえばいいのに、なんて考えているとも知らず。