明らかに眠たそうな顔をしていたナマエを横抱きにしながら、オレは自分の部屋に向かって、本部内を歩いていた。

「…サボくん、私、歩けるよ」
「眠たいんだろ?寝てていいぞ」
「んん…でも、サボくんだって疲れてるのに」

コアラと遠征先から戻ったが日付が変わって1時間経っていた。本当なら昼には着く予定だったが、途中海軍の軍艦を見つけて迂回ルートをとっている間に遅くなってしまった。恋人のナマエは夜とても眠りにつくのが早い。だいたい10時には眠そうになっているのが常だ。そんなナマエがオレの帰りを待って頑張って起きていたそうだが、オレを出迎えたのは笑顔のナマエではなく、うつらうつらとしているナマエだった。嬉しくもあり、微笑ましくもあり、同時に待たせてしまった申し訳なさもあり、オレはナマエを部屋で寝かせてやろうと抱き上げた。

「海軍、大丈夫、だった?」
「あぁ、迂回したおかげで見つからなかったよ。心配かけたな」
「サボくん、無茶して、また、海軍の船、沈めてないか、心配、した」

言葉が途切れ途切れなのは、起きて話をしたい気持ちと、睡魔がナマエの中で戦っているのだろう。ナマエは俺の胸元に顔を摺り寄せた。なんだそのかわいい仕草は。

「ふふ、サボくんのにおい、安心する」

ナマエの気の緩み切った声に、正直欲が掻き立てられる。

「ナマエの顔が見れてよかった」

精一杯の平常心を保ちながらそう言うと、首に回されたナマエの腕に力が籠ったような気がした。

「ナマエ?」
「……サボくん」
「どうした?」
「もう、寝ちゃいそうだから、お願い、きいて。サボくんが、起きたら、一番に私に会いに来て、ほしいの」
そう言い残して、ナマエは静かな寝息を立てながら眠りに落ちていった。オレは部屋に着いて、足でドアを開けると、ナマエをベッドに寝かせた。淵に腰かけ、ナマエの頬を撫でてやると、愛おしさがこみあげてくる。
「ナマエが起きるまでオレも一緒に眠るから、起きたら一番最初にナマエの顔見て言わせてくれ。愛してるって」

言いたいことは他にもたくさんあるのに、今ナマエに伝えたい言葉はそれしか浮かばなかった。

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