エースの学校の文化祭に行った時、ナマエに一目惚れした。それから何度かエースを通じて話すことはあった。
次の日曜日にある祭りにナマエを誘ったのはエースだった。面識はあってもオレは学校が違うし、どうやって誘おうかと迷っていたら、突然「ナマエならもう祭りに呼んだぜ」と言われ、面食らった。
近くの神社でやっている夏祭りは露店も多く、花火も打ち上げられるとあって、小さい頃からエースとルフィとオレの3人で毎年行っていたし、最近はそれぞれ友達も呼んで集団で行くようになっていた。
「いいか、サボ。オレは頃合いを見てルフィたちの意識を飯に向けさせるから、ナマエ連れて二人ではぐれたふりして、どこかでいい感じになれ。わかったか?」
「エース、オレはエースがここまで気配れるやつとは思ってなかったよ」
「兄弟のことだ。一番わかって当然だろ」
集合場所にはとっくにルフィの友達やナマエが来ていた。ナマエは白い浴衣に、蒼い髪飾りをしていた。オレはナマエの隣に並んで、集団の後ろの方を歩き始めた。
「サボくんは浴衣着なかったの?」
「そうか?オレ、金髪だしあんま似合わない気がしてさ」
「そうかな?私は似合うと思うよ」
ナマエから話しかけられても上手く会話が続かない。浴衣のせいか、いつもより大人っぽい雰囲気のナマエにすごく心臓がうるさかった。ふと頭上からドーンという音が響いて、思わず足を止める。たしか花火は前半と後半の二部構成のはず。
「わぁ!綺麗」
隣でナマエも足を止めて花火を見上げていた。花火を見ている横顔がキラキラと輝いて見えた。花火を見ている人ばかりではなく、屋台も集まっているこの場所は人の往来が再び始まり、すれ違う人で体が流されそうになった。
「ナマエ」
押し流されてしまわないようにナマエの手を握って引き寄せた。
「はぐれると、いけないから」
「うん」
「手、このまま握っててもいいか?」
「うん。ありがとう、サボくん」
握り返してくれたナマエの手は少しだけ汗ばんでいて、柔らかかった。顔に熱が集まるのがわかって、それに気づかれないように、人の波の中を二人で歩いた。
「あのさ」
「ん」
「その浴衣、似合ってる。今日のナマエ、すごい可愛い」
たぶんナマエだけに聞こえたオレの言葉に、握っていたナマエの手に力が入ったのがわかった。ただの夏の思い出にだけで終わらせるつもりはない。少しでもこの関係を前に進めるんだ。