期末考査も終わり、夏休みまであと2週間。高校二年の夏休み。

「来年はもう夏休みなんて受験勉強ばっかりだと思うし、今年のうちに彼女作るしかないだろ」

幼馴染のエースもそんなことを言っていた。エースは本当に夏が似合う男だから、たぶんその気になれば彼女はできると思った。好きな女子がいるかどうかは知らないけど。
昼休みの教室。クラスの半分くらいはどこかに行ってしまっていて、残ってるクラスメイトも寝ていたりと、教室内はわりと静かだ。

「あ、夏の花火のスケジュール載ってるよ」
「見せて見せて!これ、近所じゃん。ナマエ、一緒に浴衣着て見に行こう!」
「いいね、楽しそう」

自分の席に座って読みかけの参考書を開いていても、隣から聞こえる声に意識を奪われる。

「ちょっと彼氏に呼ばれたから行ってくるね」
「うん」

一人になったナマエは友達と読みかけていた雑誌に再び目を落としていた。椅子ごと動いてナマエに近付いたオレにナマエが声をかけてきた。

「サボくんも気になる?花火」
「まぁな。どれ見に行くんだ?」
「あの子の家の近くって言ってたから、これかな」

指差されたのは7月末にある市内の花火イベントだった。

「浴衣着るんだ?」
「花火見に行くっていったらやっぱり浴衣の方が雰囲気出ない?」
「たしかにな。じゃあさ」

オレは同じのページにあった隣の市で開かれる8月半ばの花火大会の記事を指差した。

「この花火はオレを一緒に見に行かない?」
「……え?」
「オレもナマエと花火見たいっていう誘いなんだけど、だめか?」
「だ、だめじゃない!」

断られなかったことにほっとしつつも、明らかオレの好意が筒抜けだろう誘い方にじわりと耳のあたりに熱が集まるのを感じた。

「じゃあ、待ち合わせとか連絡するから」
「うん」
「あとさ」
「ん?」
「ナマエの浴衣姿も、楽しみにしてる」

オレの言葉にナマエは耳だけじゃなくて顔も赤くなっていった。こうしてナマエの好きな部分がまた一つ見つかって、沢山のフラグも立てて、きっと何かが変わる夏休みになると思った。

back top