放課後の図書室、委員会の仕事で僕はそこにいた。
「くぅ…もう、ちょい」
視界の端に、声を潜めながら背伸びをし、本を片手に本棚の上の方に手を伸ばすミョウジの姿が映った。届かないなら踏み台持ってくるとか、僕に声をかけるとかすればいいのに、何のための一緒の図書委員だと思ってんだろ。
「ちょっと」
「今、集中してるから、待って、月島くん、んっ」
「はぁ、貸して」
ミョウジの背後に立って、手から本を奪い、元の場所に戻した。爪先立ちをしていたミョウジはすとんと地面に足を着いた。僕より頭一つ分くらい小さいミョウジのつむじが見えて、ふわりといい香りがした。
「あ、ありがとう」
身体ごと向きなおしたミョウジは、上目づかいで僕を見た。頭の中でカチッと音がして、僕はミョウジを囲うように、ミョウジの背後の本棚に手を着いた。
「あの、月島くん?腕、退けてほしいな」
「嫌だ」
「即答!?」
「ねぇ」
手をついていた場所に肘を着けるようにして、ミョウジの顔に近づけば、ミョウジの顔が少し紅く見えた。
「な、何?」
「ミョウジのこと、今好きになった」
「え?」
「だから、ミョウジも僕に落ちてもらうね」
耳元でそう言えばミョウジは更に顔を紅くさせ、口をぱくぱくと動かして、固まっていた。恋に落ちるのは一瞬、だからミョウジも早く僕に落ちてよ。