誰かを好きになると、こんなにも人は臆病になるのかと驚いていた。ほんの数か月前までは、ナマエの顔を見ればどんな疲れも吹き飛んでいたし、声を聴けばその場にずっといたいと思うような、そんな日々だった。コアラにふと「そんなにナマエのことが好きなら告白でもしちゃえばいいのに」と言われてから、オレはナマエのことを好きなのだと自覚した。それからは、どんな顔をしてナマエに会いに行けばいいのかがわからなくなった。
「ナマエ、落ち込んでたよ。サボくんに避けられてるって」
「別に避けてなんか」
「避けてるじゃない。ナマエのいない時間帯を見計らって動いたりして」
「うっ」
「好きじゃなかったの?ナマエのこと」
「……好きだよ」
「なら、どうして避けるのよ」
「……怖いんだ」
「怖い?」
「ナマエに会うのが。好きだと自覚してから、抱きしめていたいとか離したくないとかオレだけを見てほしいとか、そういう欲ばかりが出てきて、そういうのをナマエにぶつけちまうのが怖いんだ」
「でもさ、それってサボくんが怖がってるだけで、ナマエはどう思うか考えたことある?」
「ナマエが?」
「私が知ってるナマエはそんなサボくんの感情も全部受け止めてくれる人だと思うよ」
「…そうだよな」
「だからちゃんと伝えてきなよ、参謀総長」
ナマエに背中を押され、オレはナマエのもとに走った。本部の書庫で書類の整理をしていたナマエを見つけ、オレの想いを伝えると、ナマエは嬉しそうな笑みと涙を浮かべながら返事をくれた。
「私もサボくんのこと大好きだよ」
抱きしめたナマエのぬくもりを感じると、ずっと手離したくないと思った。きっとこれが愛なんだろう。