コアラはバルコニーでぼけっと空を見上げるサボの姿に溜息を零した。

「ちょっとサボくん、参謀総長がそんな感じだと周りの士気が下がるんだけど」
「あぁ、なんだ、コアラか」
「なんだじゃないわよ、なんだじゃ。ナマエが遠征でいないからってそこまで腑抜けるなんて」
「ナマエはあと何日で帰ってくるんだ?」
「そもそも出発したのが昨日だよ。今回も海軍への潜入だから時間もかかるし、連絡もこまめには取れないって話だったでしょ」
「はぁぁぁ、ナマエに会いたい」
「私の話聞いてたぁ!?」

コアラはサボの頬を左右から引っ張って怒るが、サボはされるがまま。
ドラゴンに救われ、革命軍として生きていく中で、救出任務の時に出会ったナマエに惚れたサボはナマエを革命軍に勧誘した。それから5年以上に渡る初恋を拗らせ、先日ようやく恋人という関係になったばかり。しかし元海兵のナマエは海軍への潜入任務での遠征が多かった。
サボは皮の手袋を外し、右手の薬指に着けた指輪を眺めた。ナマエに告白した際に送ったペアリング。片方はもちろんナマエの薬指に着けさせている。

「やっぱりオレも潜入に向かった方がいい気がする」
「何言ってるの?」
「だってナマエがもしも革命軍のスパイだってバレたら海軍だって拷問とかにかけるかもしれないだろ」
「もう何年もナマエは潜入続けていて、バレるようなことになってないってサボくんだってわかってるでしょ」

サボとコアラが言い合っていると、サボが着ているコートのポケットに入れている電伝虫が鳴った。普段は仲間からの連絡の時すらすぐに出ることはないと有名なサボが素早く電伝虫を取った。

「ナマエか?」
『あ、サボくん?無事に海軍の支部に着いたから連絡しておこうと思って』
「無事か?何もされてないか?」
『まだ着いたばかりだからね。でも、今回も目的の情報収集できる目途はもうつけてるよ』
「流石ナマエだな」
『素敵な御守りも貰ったし、サボくんのところに早く帰りたいし、私がんばるね』
「っ」

ナマエの言葉にサボは口を押えて震え、隣で見ていたコアラの顔は全然に引いていた。

『あ、そろそろ呼ばれるから切るね。じゃあ、サボくんもお仕事がんばって』

ガチャと切れた電伝虫をポケットに戻すと、サボはすっと立ち上がって本部の中へ戻って行った。あとを追うようにコアラもサボに続いた。

「ちょっと、サボくん!急にどうしたの?」
「ナマエが仕事がんばれって言ってくれたのに呆けてるわけにはいかないだろ。書類もさっさと片付ける」

コアラはこれからナマエの遠征前にはサボを励ます言葉を言わせておこうと内心思った。

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