誕生日が嬉しいと思ったことは多くない。ロジャーの息子であること、世間からは疎まれる存在であること、生まれたことを後悔しながら生きてきた時もあった。ガープのじじい、ダダン、サボ、ルフィと出逢ってからは少しずつオレも変わっていった。そして今では白ひげ海賊団の2番隊隊長として、いろんな奴が祝ってくれる。日付が変わる瞬間から宴始まり、誕生日を迎えて数時間後にはみんな酔いつぶれる。主役よりもはしゃぎまくり酔いつぶれ床に寝転がる仲間の間をぬって、オレは甲板へ出た。甲板の先端にランタンを持つ人影。
「待たせて悪ぃな」
「ううん。大丈夫だよ」
そこにいたのは恋人のナマエ。寒いのか厚手のコートを着ていた。白ひげ海賊団入って一目惚れしたのがナマエだった。片想いしていた時は想いを抑えるのに必死で、よく炎が暴走しては周りが爆笑していた。ナマエの背後に立ち、腕の中に閉じ込める。
「コートより人肌の方がいいだろ?」
「ふふ、温かい。エースくんは体温高いもんね」
「オレは炎だからな」
指先に小さい炎を出して見せてやれば、ナマエの顔が柔らかいオレンジ色に照らされた。綺麗だと思った。こんなに綺麗で愛おしいと思えるのはたぶんナマエ以外に出逢うことはないと思った。
「あっ、お誕生日おめでとう、エースくん」
「サンキュ」
「プレゼントはその、本当にいいの?」
「あぁ」
数日前に誕生日プレゼントには何がほしいかと聞いてきたナマエにオレは迷わず答えた。オレたちの子供がほしいと。
「一回じゃ赤ちゃんはできないかもよ」
「何回でもやればいいだろ」
「……エースくんのえっち」
「オレがいっぱいナマエを愛したら子供ができる、自然なことだろ」
父親のことはわからないし、知りたいとも思ったことはなかった。だけど、オレの母親は命を懸けた愛をくれた。オレにも命を懸けてもいいと想える存在ができた。ナマエとの子供がほしいと思えるようになった。
「エースくん、大好き、愛してるよ」
「オレも愛してる、ナマエ」
そっと重ねた唇は熱を帯びていた。