一つ下の学年にいるコアラに会いに行った時に出逢ったのがナマエだった。直感的に、この子が好きだと思ったし、どんどん惹かれていった。生徒会の時に渡せばいい書類をわざわざコアラに届けるのを口実に何度も会いに行った。その度に、ナマエは笑顔でオレに笑いかけてくれて、それはもう可愛かった。
初めは、オレのことを先輩と呼んでいたけど、オレはもっとナマエと仲良くなりたくて、先輩って呼ばなくていいよって言ったら、コアラみたいにくん付けで呼んでくれるようになった。嬉しくて、そのことをエースに話した時に、エースからは鼻の下伸びてんぞ、って言われた。
そんなこんなで、オレのナマエへの片想いはもうすぐ半年を迎えようとしていた。

「サボくん、ちゃんと資料読んでくれてる?」
「ん?あぁ、読んでる読んでる」
「へー、上下逆さまでも読めるんだ、すごいねー、サボくんは」
「…ははっ」

生徒会室のソファーに座ってコアラから渡された資料を読むふりして、ナマエのことを考えていたら、見事にコアラに見透かされた。

「もう!そんなにナマエのこと好きなら告白しちゃえばいいんじゃないの?」
「フラれたらどうするんだよ」
「弱気だね、サボくん」
「それくらい好きなんだから仕方ないだろ」
「……それ、私に言うことじゃないよね」
「ナマエに言えたら苦労しねぇよ」
「ナマエだってサボくんのこと好きだよ」
「その“好き”が異性としての“好き”かはナマエ本人にしかわかないだろ」

好きすぎて動けなくなる。告白してフラれたり、ぎこちなくなるくらいなら、今のままの関係の方がいいと思う。それなのに、ナマエがオレ以外の男と付き合ってる姿とかは想像したくもない。

「恋って難しいな」
「……あのさサボくん、仕事してくれる?」

コアラの顔に怒りマークが見えた気がして、書類に目を通そうをしたら、ドアが二回ノックされた。ドアの所に向かったコアラがドアを開けると、そこにはナマエがいた。

「ナマエ!」
「サボくん、コアラちゃん、生徒会中にお邪魔してごめんね」
「ううん、大丈夫。サボくんは全然仕事進んでなかったし」
「おい」
「ふふっ、大変だね。あ、職員室でドラゴン先生がサボくんのこと呼んでたよ。至急来てほしいって」
「お呼びだって生徒会長」
「仕方ねぇな」

せっかくナマエに会えたのに呼び出しの伝言だったらしい。腰を上げ、ソファーから立ち上がると、ナマエと入れ替わるように生徒会室を出た。

「ナマエが呼びに来てくれて嬉しかったよ。あれなら、中で待っててくれ。一緒に帰ろう」

ナマエの頭を撫でながらそう言うと、ナマエは嬉しそうに笑みを浮かべ頷いてくれた。オレは職員室に向かって駆け出した。っていうか、今のってもう付き合ってる感じの会話だよな。ナマエも嬉しそうだったし、やっぱり脈ありって思っていいのか。

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