プロの忍者である利吉にとっては、ナマエの行動を把握することも彼女の家に潜入することも、その気になれば容易いことだ。それでも利吉があえて彼女が忍術学園にいる日に合わせて逢瀬をするのは、そうしないと見られないもののためだ。

「んっ、利吉さ、ん、はぁ、んんっ」

薄暗い用具倉庫の中。ナマエの腰にはしっかりと利吉の腕が回され密着する身体。もう片方の手はナマエの顎を掴み、利吉が口吸いしやすいように上を向かせていた。

「また上手くなったじゃないか。嬉しいな」
「はぁ、はぁ、利吉さんが、お会いするたびに、いっぱいなさるから、でしょ」
「ナマエの唇はいつも吸いたくなるからいけないんだ」

顎を掴んでいた利吉の手がナマエの頬を撫でた。ナマエもうっとりとした顔を隠しきれず、頬をその掌に摺り寄せる。
利吉が二つ年下のくのたまだったナマエと恋仲になったのは、ナマエが忍術学園を卒業したその日だった。ナマエはくノ一の家系の生まれだった。卒業後は家が仕える城主の下で働く予定だったが、城主が急死しお家騒動に発展。ナマエの家は新しい城主とは折り合いが悪かったようで、家ごとフリーの忍者となり、ナマエは非常勤講師として忍術学園で働いていた。

「お前の授業を学園長先生も褒めていたよ。くのたま達も懐いていると」
「シナ先生もいずれは教師になったらと言ってくださるの」
「くの一をやっているナマエも好きだが、教壇に立つナマエも私は好きだよ。それに」
「それに?」

利吉は何かを言いかけたが途中で止め、ちゅっと音を立て、またナマエの唇を重ねた。

「みんなの憧れのナマエ先生が恋仲である私と、学園内で隠れてこういうことをしているというのは、なかなかに緊張感があって興奮するだろう」
「もう!利吉さん!」

ナマエは利吉の胸元を軽く叩いた。しかし利吉が言ったことは外れてはいない。二人ともこの逢瀬の形を楽しんでいた。

「これから忍務ですか?」
「ああ。明日の昼頃発つよ。それまでは空いている」
「私も今日はもう授業終わったので帰りますし、明日も午前中は授業もないので、それまで利吉さんを独り占めできるから嬉しいです」

利吉に胸元に顔を寄せたナマエに、利吉は自分の中で理性が崩れていく音がした。しかし、流石にここで事に至るわけにはいかない。

「今日は街に宿を取っているから一緒に帰ろう」
「わかりました」
「それまではこれで我慢してくれ」

三度、利吉はナマエと唇を重ね、その熱を交わらせた。
翌日、任務に出る利吉を見送り忍術学園に戻ったナマエがくのたま達から利吉との逢瀬について質問攻めにあったのは言うまでもなかった。

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